
自分の人生に明確な目的がないことは、けっして悪いことではありません。なぜなら、特定の目標を達成することに縛られていないため、意識を目覚めさせるプロセスに多くの時間を使えるからです。
意識が目覚めるとき、❶Self-Knowledge(自己認識)、❷Self-Actualization(自己実現)、❸Self-Realization(自己覚知)、❹Enlightment(覚醒)という四つのプロセスを通過します。ほとんどの人が❶の自己認識に到達したあと、そこから先に進めません。また、この4つのプロセスでもっとも難易度が高いのは❷の自己実現です。
1.自己認識(Self-Knowledge)
私たちは普段、さまざまな場面で、本心を打ち明けられなかったり、便宜上の嘘をついたり、事実を歪めて話したりしてしまうことがあります。さらに、そうした自己矛盾の言動が真実であるかのように思い込んでいくこともあります。ほとんどの人が、自己矛盾という内的な葛藤により、真の自己がわからない状態で生きています。自己認識とは自己矛盾のない状態であり、意識的に作り出すことができないどころか、そのように振る舞うこともできません。自己認識とは完全に正直な状態であり、一切の幻想に囚われていない状態です。それは、自分のfeeling(感覚)とthought(思考)が完全に一致していることによって到達できるものです。
たとえば、人から否定的な態度を取られて、怒りの感情が出てきたとします。そこで、『いま自分は怒りの感情が出ている』と客観的かつ冷静に判断できたとしても、それはまだ自己認識の状態ではありません。その怒りの感情について、過去に同じような状況で怒りの感情が出てきたというパターンに気づき、怒りの感情が起こる原因が、自分の外側(特定の出来事や特定の人物)にあるのではなく、自分の中の古い傷が原因であることに気づくのが自己認識です。ここでいう古い傷とは今世だけではなく前世のものも含みます。つまり、怒りの感情の原因が、自分の外側にあるのではなく、自分の中の古い傷やその痛みにあり、それがいつも同じパターンとなって出てきているということに気づくのが自己認識です。このように、自己認識とは、自分について客観的かつ冷静に判断することではなく、それよりもさらに抽象度の高いレベルで認識する意識状態を意味します。
ほとんどの人は、自分が人前できちんと振る舞っているだろうかとか、良い評価を受けているだろうかとか、嫌われてないかとか、周囲を気にして生きていると思いますが、この状態では自分の感覚と思考が一致することはありません。自己認識の状態に至り、自分の感覚と思考が完全に一致したとき、どの瞬間も純粋なレスポンスをするようになります。
2.自己実現(Self-Actualization)
フランスの著名な画家マルク・シャガールが自分自身にとって本当に表現したい絵を描き始めたのは52歳の時からだと言われています。このように多くの人は、人生の後半に差しかかって初めて、自分が本当に表現したいことが少しずつわかってきます。しかし、仕事や人間関係など外側のものに心が奪われていたり、自己実現は無理だと思い込んでいたり、何らかの義務感に駆られていたりすると、いくら年をとっても自己実現の状態に到達することはできません。自己実現とは、自分の内側がこの世界へと出ることです。自分の外側にあるもの、すなわち既存のものを通して実現するものではありません。そしてこれを理解することは大変難しく、実践するのにもっとも難易度の高いものです。
分離していたさまざまなパーツ(副人格、または平行自己)が統合されて、自己の本質とその全体が見えてきたとき、あらゆるものが自分の思い通りに進みはじめ、努力することもなくなり、障害となるものもなくなり、生きることが楽になります。すると、自分が発するものはこの世界に向けた指令となり、意図した瞬間に結果が現れるようになります。そして、自分がやりたいことは次々と実現し、自分が欲したものはすべて手に入るようになります。この段階まで到達すると、自分の外側にあるものについて批判も評価も一切しないだけではなく、自分自身が誰からも批判や評価を受けない状態になります。そして最終的に、世界というものは何の波風もなく、真に静寂な空間であることを悟ります。
自己実現の状態にいるときは、人生に特定の目的を持ったりゴールを設定したりすることはありません。なぜなら、特定の目的を持ったりゴールを設定したりするときは、必ず何らかの期待と予想が付随し、『そうなればいいな』という欲望の裏側にある『いまはまだそうなっていない』というネガティブな側面が真の自己実現を遠のけていきます。真の自己実現は、脳内で欲しているものよりも次元の高いところで開花することから、ゴール設定も目標もなく、ただありのままの自分自身を表現するだけで到達します。自己実現の状態に到達したとき、シンクロニシティの連続により、すべてのものが完全につながっていて、自分の意志で何でも思い通りになる反面、この世界は自分の意識が外側に映し出されたものに過ぎないということに気づくことでしょう。
3.自己覚知(Self-Realization)
自分の内側にあるすべてのパーツ(副人格、または平行自己)が完全に統合されると、自己覚知の状態に到達します。自己覚知とは、自分の内側から沸き起こるさまざまな思考や感情によって意識が分離することなく、自分の意識が一つの完全なる全体である状態で、いまここに存在していることの喜びというこれまで味わったことのない無条件かつ最上の喜びに満たされます。ここで重要なことは、自己覚知の状態で味わう喜びというのは、自己覚知に至る前の喜び、すなわち、脳内で分泌されるセロトニン、ドーパミン、オキシトシンといった神経伝達物質によるものとはまったく質の違うものです。
自己覚知の喜びについて人に話しても、理解できる人はいないでしょう。自己覚知の状態に到達するというのはそのくらい稀なことであり、自己覚知の状態に到達した人が絶対に知っておかなければならないのは、この世界にいるほとんどの人にとって自己覚知の状態は重要ではないということです。副人格や平行自己が分かれているからこそ経験できる思考や感情があるということと、私たちひとりひとりは魂として、人として、非常にユニークな存在で、誰ひとりとして同じではないのです。自己覚知の状態、すなわち自己が完全に統合した状態を他者に理解してもらうことは不可能ですし、その必要もありません。ほとんどの人は思考と感情が分離しており、欲望を満たすために楽しいことを外側に探し求め、物事が自分の期待通りになることや、報酬を得ること、人から承認されることを支えにして生きています。覚醒のプロセスの中で自己のパーツが統合されていくことに喜びを感じる人は全人類の割合において極少数です。
4.覚醒(Enlightment)
サイババやババジ、OSHOなど、覚醒を遂げたといわれている人の情報から離れましょう。なぜなら、覚醒に至るまでのプロセスは人によって異なるからです。覚醒を遂げた人のそばにいても、彼らがしていることを真似ても、覚醒することはありません。また、覚醒したことでオーラが光輝くこともありませんし、特別な人になるわけでもありません。もっとも重要なのは、覚醒した人の外見は覚醒する前と変わらないことです。覚醒する前とした後の違いは、その人の内側にのみあります。覚醒する前は、自分の過去、すなわち自分がこれまで習得したものや達成したもの、手に入れたものが大切なのに対し、覚醒したあとは、自分が何をやってきたかは一切関係なくなり、ただ、自分の中心にある神聖な場所に辿りついたという実感があるのみになります。そしてこの境地を他の誰かに共有したいという欲求もなくなります。覚醒とは特別なことでも高度なことでもなく、誰もが最終的に体験する普通のことに過ぎません。それは、自分が、この世界で唯一無二のユニークな存在だということを知ることです。そして人は覚醒すると、この世界の誰からも、何からも、いっさいコントロールされない状態となります。
(ノウイングスクール本科5期の授業より)
記事更新日:2026/03/23























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