◎言霊ム❶
無(ナキ)は、ナは凝(コル)こと。キは暉く火の灵なり。水、火の中に凝ると云こと。マ行は、惣て火中の水灵にして、水の火に凝るの一行なり。其一行の中にても、此一音は中言に在て、余の四音に替て勝るゝ。水、火中に與み凝れは、火の為に水消為す。たとへは、鼎(かなえ)に水を入て火をたけは、竟(つひ)に水は火の為に消散す。是を無(ナキ)と云。又、火も水中に與み凝れは、火の形を隠す。是、氣の凝(こる)故(ゆゑ)なり。惣て氣こり、これは其形を隠す。是を無(ナキ)と云。今、ムの音は、火中の水の凝り究るの音の故に、ムは無き也と有。則、ナと云ナの一言にて、無(ム)の語に用ると知へし。是、與堨るのナの音なるか故なり。是、無の字にナキと訓するは、和漢の灵合なり。
(山口志道「言霊秘書」p.510-511)


蒸発



記事更新日:2026/09/11