◎言霊
亦(マタ)は、はまろかること。は玉のこと。玉まろかるを、亦(マタ)といふ。木の股(マタ)なとも、枝と枝と付、円(マロ)かれたるをマタと云。今、の音は、亦(マタ)也とある。後選集の哥に、是やこの行還る、と有。此は、亦(マタ)の義にして、行人も、還人も亦(マタ)、と云語也。知れる人も、又(マタ)知らさる人も行逢と云哥にて、知る知らぬ逢坂の関、とよみつゝけし哥也。此一首に、四つのの辞あり。是は、皆亦(マタ)をなす。足のモヽを股(マタ)と云も、左右の足舫(モヤフ)処(トコロ)なれは、モヽの名をなす。是、右も左も一処に舫(モヤフ)也。行人、還る人、知る人、知らぬ人、と別なるもの四つ有。夫(それ)を、一処に円(マロ)かれ舫(モヤ)はせて、逢坂の関と與舫せて、詠したると知るへし。
(山口志道「言霊秘書」p.506)


百人一首


記事更新日:2026/09/05