稲荷古伝五十連法則(イツラノノリ)


正火の灵
◎正火の灵と云は、水に火(ホ)の音なし。p.386(ホ)
◎火の初て起るときは、ホの音を起す。p.386(ホ)
★
◎万物皆、火にあらされは起ることなし。p.386(ホ)
◎草木芽を生するは、陽の火の力(チカ)らなり。p.386(ホ)
◎五十言の音を起す始めゆへに、正火の灵の火の音より起るなり。p.387(ホ)
◎天地も万物も、其始はみなホチ(ヽ)也。p.387(ホ)
◎正火の灵に在て、ホは火の灵なるを、水を宰て、かゝやくの、尖(トカル)のと云は、水火にかゝはりて云には非す。物の初をホと云より、月の出るときに、東天のトカルをホと云こと也。p.388(ホ)
◎正しく吹(フキ)分(ワカツ)ものは火(ヒ)。p.398(フ)
◎ヒは正火の灵にして、天を回る火也。p.402(ヒ)
◎凡(おほよそ)火に三種あり。天を回る火、万物胎内の火、水中の火。p.402(ヒ)
◎是は、詞の用(はたらき)にあらす。故に、只(ただ)天を回る火也と、ことはる也。p.402(ヒ)
◎天を回る火は、水中の火にあらすして、正火故に、天の火をただ日とのみ云也。p.403(ヒ)
◎人にのみ、出入の息あるに非(あら)す。日月四時の運行は、天地のイキ也。海水にては、潮の満干は大海のイキ也。皆是、正火の為に動かされて、出入の息有なり。万物皆かくの如し。p.403(ヒ)
◎人死して、胎内の正火のヒの無くなるゆへに、出入のイキなし。故に、是をなき灵(タマ)と云。天(あ)めの御中主のヽの、正火のヒなきと云ことなり。ナキカラと云も、正火のヒのナキカラと云ことなり。故に、今(いま)正火の灵の火(ヒ)に、出入の息の本と有(あり)。p.403(ヒ)
◎穴(アナ)とは天(アメ)也、〇(ワ)也とありて、天の御中主の、めくりの輪をアと云也。ナは正火の灵也。然れは、アナと云(いひ)、〇(ワ)の正中と云(いふ)。〇(ワ)の正中なれは、天の御中主のヽの火也。故に、穴を樋(ヒ)と云(いひ)、樋口なと云(いふ)しかり。アナのこと也。難して曰。天の御中主の形には、ヽの火あり。今、世間に申す穴と云は、空の穴にして、正中に火のヽなし。其火のヽなきはアナにして、何そ是を火と云や。答曰。真の火は貌見(かおみ)へす。形有(ある)は火の活用なり。御中主の御灵の☉形は、形無きの真(まこ)との火を形に顕して、見せしむるの形☉也。真の火、真の水は、見るへからすの空躰也。其空躰たる真(まこ)との火、万物を興し、動し、はたらきの用の備る故に、是(これ)無にして有なり。有にして無なり。〇(穴)に物を動す空躰の真火あれはこそ、万物の穴によらさるはなし。天は空躰の穴なるか故に、万物を産む。是、御中に真の火か有(ある)故なり。凡(すべ)て穴より生して、穴の中に住す。死して又、穴の中に入。眼耳鼻口屎(シヽ)尿(ハリ)乳(チチ)、皆穴あるを以(もて)用をなす。其外、草木桶鉢盥(たらい)茶碗茶杓針釘、皆穴有(ある)を以(もて)用(はたら)きをなす。正火の火の灵は空躰にして、しかも能(よ)く物を動かすの活用の有(ある)故なり。穴の空は、即真の火の灵、能(よく)物を出入して動かすか故に、穴をヒと云。空躰にて其用ありと云とも、老子の虚無自然の教へとは異なり。p.403-404(ヒ)
◎正火の灵にして、真の火なるか故に、真の火は空躰にして、有にして無なるか故に、非すの法(の)りなるなり。p.404(ヒ)
◎真の火は、空躰のものなれとも、無也。又、無にして有也。有にして無也。p.404(ヒ)
◎上下、前後、左右に名をなす、水と火の二つの離るゝを、ハと云。p.412(ハ)
◎ヽの一滴、天地の始ゆへに、正中を宰ると云。空躰の正火の灵より、形顕はせし一滴の水故に、火中の水灵にして、潤ふ水也。故に今、月の灵なりと有も、真(まこと)の水は形(かたち)なし。形顕れて月とみゆるは、火中の水灵に、正中を宰る月の灵なりと有なり。p.406
◎真(まこと)の火の躰には、凝る物に非(あらず)。影は火の用(はたらき)にして、降る濁水に引息の火こりこつて、暉き昇る程にこる故に、是をコと云。p.452(コ)
◎正火は躰にして、暉く物に非(あらず)。暉く火は用にして、火の影なり。p.462
◎真の火に形見へす。形をなす火は、火の用にして、則(すなはち)影也。p.471
◎影と云に二種あり。正火より出る影と、影より出る影有と知るへし。p.472
◎カの音は、暉く火灵にして、暉は是(これ)火の用(はたらき)にして、正(たたし)き火の躰は暉くものに非す。p.474
空中の水灵
◎ア行は、天に位して、下に居らさる故に、空中の水灵。p.389(オ)
◎ア行のイは、天に位して、空中水灵。即、出る息のイ也。p.408(イ)
◎下に居らさる故に、空中の水灵。p.408(イ)
◎アは空水の水灵にして、ミヅカラ(自)のこと。p.414
◎アは空中の水灵のゆへに、無にして有なり。用(はたらき)を見るときは、有にして其形見えさる故に無なれとも、用(はたらき)有か故に有也。故に、無に非、有に非。p.415(ア)
◎アは空中の水灵にして、メは回ること。空中の水の回るを、アメと云。空中の水は、常に回(めぐる)を以(もて)躰とす。時有て回るに非。何れの水も、回らさるはなけれとも、時に回らさること有。今、空中の水は常々回れとも、目に見へるものに非。目には見えされとも、常に回りて、昇り降りするときは、中(う)ちの陽の火の和して、水の形をなして降る。此時、初て人是(これ)をみて、アメと云。是、初めてのアメにあらされとも、空中の火氣に和せさるときは回れとも、人の目にはみえさるか故に、アメ也と知らす。火氣の和して、水の形をなす処にて、初て人アメと云。故に、アメは空水の回る水の故に、空中に有て、降る道をアメ(雨)と云。正しく地に落ちて後、水と唱て、アメとはいはず。如レ此、空中の水の回るに付て、アメと云名をなす。其空中に回る水の灵は、此アの音故に、アメをたゞアとも云。人のアタマと云も、皆アメの灵と云こと也。p.416(ア)
◎アは空中の水灵なれは天也。p.418(ア)
◎搦むこと、目に見えさる故に、アは空中を回る水の故に、アの音にオノツカラと有也。p.418(ア)
◎アは〇也とは是空水の回る形也。〇は円満の義にして欠ること無き相(スカタ)也。p.418(ア)
◎アの音は、空中の水灵にして、形をなさす。只(ただ)空躰にして、自ら天を回るのみ。p.420
◎ア行のイは、火の為に割分れて、昇る水火(イキ)の息也。p.429(イ)
◎ア行のイは出息也。p.429(イ)
★
・形無き水灵は、本来寂然(せきぜん)として為限(シキリ=水切)なし。p.487
水火の灵
◎ワ行を水火の灵と云ことは、水火交りて、ワ井ウヱヲの音をなす。p.391(ヲ)
◎水は昇るへきものなれとも、火交れは火の為に濁りて降る。p.391(ヲ)
◎地を宰とりて、語の下にのみ有り。p.391(ヲ)
◎ヲは水火の灵なれとも、終は水を宰るゆへに、水はたてなる物ゆへに、終りのヲにタテ也と有。p.393
(ヲ)
◎ワの音は、水火の灵、水火水(シホミツ)也。p.420(ワ)
◎ワの音は、地を宰りて、万物の形をなす。先に、アの音もワなりとあれとも、空中の水灵にして、形をなさす。只(ただ)空躰にして、自ら天を回るのみ。正しく万物の形をなすものは、シホミツ(水火ミツ)にあらされは、なすことなし。シホ離るゝときは、形をなさす。草木芽かひを生し、葉を出すも、水火の睦む故也。水氣盛をすきて、火氣勝ときは枯れ、又(また)火氣去て水氣かつときは崩るゝなり。又、其躰枯たりとも、有情非情にシホ水に入置ときは、朽ることなし。必(かならず)一度はたもつ。其他、何にても、シホ放るゝときは、形をなすこと無きもの也。故に、美はしく、形を粧ひしたるを、シホラシクと云。老てうるはしき形なきを、シホナキウハと云。若きときは、春の盛の花の如く、其形美はしきは、シホの盛なる故也。又、老ては秋の草木の枯行如く、歯落て、腰の曲れは、シホの衰る故也。如レ此、貌をなすは、シホに非されはなすこと難し。今、此ワの音は、地の方を宰りて、万物の形(かたち)をなすゆへに、シホ水也と有。偖(さて)、こゝに不審の有は、先の井の音にも潮水とあり、今此シホミツ(水火ミツ)と云は、何如なる差別ありや。云(いは)く。井のシホ水は、万物を搦みて備へたるシホ水にして、形をなすものに非。たゝ、自(オ)搦みて備たるのみ。形をなすものに非。此ワの音は、正しく形をなす処なり。是(これ)、渾沌のヽ、天地と形を顕す処の、其形能(よく)顕すものは、シホミツ(水火ミツ)也。故に、此ワ行は、水火の灵なり。又、水火の灵と云にも付ても、先の如く難あり。さきの如く、一物のヽ水火と顕れて、水は澄上り天となり、火は凝り降りて地とならは、此ワ行は地の位にして、火の灵のみ有へきに、何故水火の灵と云や。又、ワ行を水火の灵といはゝ、ア行も亦(また)空水の灵とのみ云はずに、火水の灵とも云へきに、今しからすは如何。解(と)きて云。此訳は、昇るは水にして天、降るは火にして地なれとも、天は空にして形なし。地は初より形を顕はす。形顕るときは、降る火に水氣の交る故也。水火交はらねは、形成(なす)ことなし。今、天も形(かたち)をなして、日月星辰と顕るゝときは、空水に火氣交る故なり。今日にて天を云はゝ、形をなして火水の灵なり。しかれとも、開発の始めは、天は空也。地は、其時より形をなす。故に、地を宰るワ行には、水火の灵と云て、空躰を宰る。天には、たゝ空水の水灵とある也。学ぶ者、深く思ふへし。p.420-422(ワ)
◎ワ行は地なり。地は総(すべ)て水の〇をなす故に、〇は水火の灵にして、水火交はらねは、水の〇をなすことなし。父の火と、母の水と交るか故に、一滴の水のワをなす如(ごとく)、ワ行は地にして、水火の凝故に、水の〇をなす。p.422(ワ)
◎〇は水火の灵の故に、水昇りて、玉の〇をなす。是を露(ツユ)と云。p.422(ワ)
◎ワ行の井は引汐也。又、天地人万物を搦て備たる井(シホミツ)也。p.429(イ)
◎ア行のイの出息を、引汐か搦みて文をなし、ヤ行の入息を起す也。p.429(イ)
◎コの灵の火か、ロの濁水と與て、水火與みて、水火堨(カタマル)をソと云。p.455(ソ)
◎コの灵の火か、ロの濁水と與て、入終りて、全躰の形無き法則出る。p.456(ソ)
◎火、水中に入て、形見えぬより、形無きの法則出る也。(ヌと同じ)p.456(ソ)
◎サ行は、惣(すべ)て万物の正中(まなか)を昇る水の灵とありて、此ときは火は躰にして、水は用也。水の昇るは、火のために動されて昇れとも、昇る用(はたらき)の水は形を顕す。又、昇らしむる火の躰は隠れて、形(かたち)見えす。故に、この音の形を見るへし。火の点は短くして、水の点は長し。又、此昇る水は用にして、其形顕れ、昇らする火は躰にして、形見えさる。只(ただ)、形を目に見するの業(わ)さ也と知へし。今、形なしと云は、火の躰、水中に入隠るゝを、火水の灵と云より、ソの音の形(かたち)なしと云。p.456(ソ)
◎ソの音は、昇る水の水灵にして、水なるか故に遅(オソイ)こと也。尤、火の為に昇る水なれとも、火は水中に入て形無く、昇る物は只水なれは、火水の灵とある。サ行惣(すべ)て、昇水の灵にして、水灵なることを心得玉へし。p.456(ソ)
◎ソの音は、火、水中に降(クタ)りて火垂(左)をなし、水は昇水にして水氣(右)なり。其形を見て知へし。此火垂と水氣と有故に、ソの音に揃(ソロフ)也と有。p.456(ソ)
◎ソの音は、水火の灵にして、火、水中に入て、水、形をなすの音故に、水火(シホ)と云。塩と云ものは、火、水中に入て、其水の凝たるをシホと云。故に、浦人のシホを取るにも、暑氣の時、常に天の陽(ヒ)を待て塩を取る。シホは、シは昇水の水の灵也。ホは、正火の灵也。火の為に水昇りて、形をなすと云の名なり。故に、天に有りては星(ホシ)と云(いひ)、地に有りては塩(シホ)と云(いふ)。時に、水の為に火、光りをなす。故に、天に有ては、又シホと云。時に、火の為に水形をなす。故に、地に有て、シホといふ。此地中に生する物は、海水に限らす、皆シホ也。勝れたる名を負せて、海水のことのみ塩(シホ)と云。p.457(ソ)
◎ソの音は火水の灵にして、火、水中に入るの音の故に、ソコ(底)也と有。p.459(ソ)
◎ソの音は、火水の灵にして、水の動きて形をなすもの。其水中に火の與故也。p.461(ソ)
◎ソの音の火水の凝りと云は、胎内に凝りあれとも、表に見へず。表は只(ただ)、昇水の灵にして、水の用(はたらき)ばかり。火は胎中に隠れて、水を宰る。p.461(ソ)
◎ソの音は、火、水中に凝れとも、火は見えす。水の用(はたらき)ばかりに故に、トコロと云(いふ)法則有て、方所の所の字を借る。p.461(ソ)
◎初めソの音は、火水の灵にして、水火の與み初め。p.469
・昇水の灵なれとも、其昇水と、水動き昇るは、ソの音。p.464
・火、水中に有て昇らす也。p.464
火中の水灵
◎実(マコト)の火は象(カタチ)なし。是を火の躰(タイ)といふ。象を見する時は火中に水有。故に燃(モユル)。是を火の活用(ハタラキ)といふ。p.9(水穂伝附言)
◎恵(メクム)は、火中の水灵にして、軽く和らかなり。p.398
◎ミは潤水也。p.405(ミ)
◎火中の水なれは、水(ミツ)、火を潤すことにて、地中に水溢れ、其土自ら潤ふ。p.405(ミ)
◎ミは、火中の水灵ゆへに、正中を宰る也。p.405(ミ)
◎ヽの一滴、天地の始ゆへに、正中を宰ると云。空躰の正火の灵より、形顕はせし一滴の水故に、火中の水灵にして、潤ふ水也。故に今、月の灵也と有も、真(まこと)の水は形(かたち)なし。形顕れて月とみゆるは、火中の水灵に、正中を宰る月の灵なりと有也。p.406(ミ)
◎父母の水と水と與み與みて、其凝は躰の火に動かさるゝ故に、火中の水灵とある火も、焚(くべる)ときは鼎(かなえ)の中の水の回るか如く、惣(すべ)てこのミの音は真の水にあらす。水の用なり。真の火の為に動されて、水用(はたらき)なして、月(水)となり、虫(身)となり、五穀(実)となる。火の為に鼎(かなえ)の水の形をなして回るか故に、ミの音に渦巻なりとあり。p.407(ミ)
水か火に與合されば、火は火にしてあつく、水は水にして冷かなり。是、寛(ユルヤカ)ならす。p.439
◎ツの音は、火中の水灵の音なれは、渦巻ひそまるより出る法則也。p.499(ツ)
◎伊弉冊(イザナギ)のイキは、火中の水となりて、マ行顕るゝ。此一行は、タチツテトの水中の火灵、マ行は火中の水灵なり。マ行は潤水にして、タ行の火と與み舫ふ故に、始に舫ふのモの灵起る。p.505(モ)
◎マ行は、惣て火中の水灵故に、残らす潤水也。火中に交る水は、清らかならす。必ず潤ふ也。余の四音、推て知るへし。p.505(モ)
◎火中の水の、モの音故に、モヤウ也とあり。惣て、一行の中にも、最下の一音は、上の四音を束ねて、殊に重き故に、此マ行は惣て、タ行の火と與み舫ふ一行なれとも、舫(モヤウ)の法則は、此モの一音に在(ある)と知へし。故に、一を十(ト)に與たるを、トと云。十(トヲ)を十(ト)を與たるを、百(モヽ)と云。是、タ行のくみて、モになる故に、火中の水灵のモの音に舫(モヤウ)也とある。p.505(モ)
◎堨(カタマル)は、カは搦(カラム)こと。タは灵(タマ)をなすこと。搦て、円かに、玉なると云語也。夫を堨ると云。是、舫(モヤフ)の義と同し。然れとも、少しく差別あり。舫は、文(アヤ)に與むこと。堨るは、文(かざ)りなりして、強く與むこと。舫は與むことの軽く、堨るは與むことの重きと知るへし。しかれとも、火中に水與むと云(いふ)法則(のり)は、同しきと知るべし。p.506(モ)
◎マ行は、丸きを宰りて、空躰なれは、マ行はタ行の火與む故に、火中の水灵となりて、形を顕せとも、〇(丸)にして空躰と知るへし。是には口訣あり。月は、元(も)と光りなし。日の光り月に入て、月光りをなすの伝へ、マ行に有と知へし。p.507(モ)
◎タ行の火と與み初めて、搦み與むメの音故に、回(メクル)也。p.507(メ)
◎物(モノ)を睦(ムツミ)、合するときは、舫(モヤ)はせたる斗(ばかり)にては能(よく)回らす。依(より)て、今此メの音は、タ行の火と、いよいよ舫ひ回るの法則也。p.508(メ)
◎メの音は、火中の水灵にして、回(メクル)音故に、群(ムラカル)也。p.509(メ)
◎無(ナキ)は、ナは凝(コル)こと。キは暉く火の灵なり。水、火の中に凝ると云こと。マ行は、惣て火中の水灵にして、水の火に凝るの一行なり。其一行の中にても、此一音は中言に在て、余の四音に替て勝るゝ。水、火中に與み凝れは、火の為に水消為す。たとへは、鼎(かなえ)に水を入て火をたけは、竟(つひ)に水は火の為に消散す。是を無(ナキ)と云。又、火も水中に與み凝れは、火の形を隠す。是、氣の凝(こる)故(ゆゑ)なり。惣て氣こり、これは其形を隠す。是を無(ナキ)と云。今、ムの音は、火中の水の凝り究るの音の故に、ムは無き也と有。則、ナと云ナの一言にて、無(ム)の語に用ると知へし。是、與堨るのナの音なるか故なり。是、無の字にナキと訓するは、和漢の灵合なり。p.510(ム)
◎・ムは、水、火中に凝り睦み究りて、形を隠して、外に睦(ムツム)の一無き故に、今空(ムナシ)きなりとも。是は、彼の虚無の空(むなし)き義には非。形無き、本来虚無の空(ムナシ)には非。既に、カ行サ行と形顕せる火水は、有なり。このマ行のムは、火中の水にして、タ行の火、水中に與み睦みて、形隠すのムなり。故に、空(ムナシ)き也とは云とも、本来の火水空(ムナシ)き訳に非。形顕すの火水有にも非。故に、ア(〇)は五十音、火水のいきの惣名にして、無にして有なりと有て、今神代の学ひは有に非、無に非。しかも、有也と教ゆる処の、理(ことはり)の正しきこと知るへし。p.511(ム)
◎ムは、火中の水灵にして、火に水與て、ス一に睦むの音の故に、結フ也と有。p.512(ム)
◎ムは、火中の水灵にして、水、火に與みて、睦むの音なる故に、結也と有。p.512(ム)
◎ムの音は、火中に水與(クミ)結(ムスフ)の音の故に、睦(ムツム)也と有。p.512(ム)
◎ムの音は、火中に水睦むの故に、〇(ワ)をなして渦巻也と有。p.513(ム)
◎鼎に水を入て火を焚くときは、火中の水となりて、必ず渦巻なり。火中の水灵なるか故に、ムの音に
渦巻也と有。p.513(ム)
◎火中に水與(クミ)堨(カタマル)故に、黒(クロ)也と有。p.513(ム)
◎ムの音は、火中に水與(クム)の音なり。p.513(ム)
◎ムの音は、火中に水與(クム)の音にして、火中に水與むときは、即(すなはち)消失(ウシナヘル)也。先に解か如く、鼎(かなえ)の水の火の為に、きえうせるか如し。惣て、万物與み究るとき、消失せるもの也。一粒の米も、天地のいきの凝なれとも、凝り究れは、水氣放れて、かれかれになり、消失(キエウスル)也。花も、陽の火に凝(コ)らされて開くも、凝り究れは、散失(キエウセル)也。p.513(ム)
◎ムの音は、睦むの義にして、火中の水灵なり。其睦み究れは、竟に形隠して、無(ム)に至る。是を空(ムナシ)き也と云。是を、イキの終りと云。故に、カ行サ行の形顕せし、火水の與み究りて、其形を本源に隠して、黒き也と有。p.514(ム)
◎マ行は、惣(すべ)て火中の水灵にして、円(マロキ)を宰て、光なき空躰の水、火中に向ひ合て、光りを放つ一行なり。p.516(マ)
◎マは、五十連の結ひ言にして、初めホの一言より起り、アワの二つ現して、二に凝はいよいよ降り、澄めるはいよいよ昇り、天地の文目分れ、其分かれし天地の火水又(また)與み合て、本(モト)のホをなす。その根本のホをなさんとて、今火中へ水與み搦む。至極の音也。p.516(マ)
◎眼(マナコ)は、マは向こと。ナは並ふこと。コは息の凝ることにして、イキ(水火)とは、則(すなはち)日月也。右は水にして、眼は月を宰り、左は火にして、眼は日を宰り、故にマナコとは、いき凝りて並ふと云名也。今、マの音は、火中の水にして、イキ凝並ふの音の故に、眼也と有。p.516(マ)
◎マの音は、火中の水、群り與むの故に、回(メクル)なりと有。p.517(マ)
◎マの音は、元(もと)水は水、火は火と分れしものか、水、火中に與合せて、何れか水とも、何れか火とも、竟(つひ)に分らぬやうになる。是を、曲(マカル)と云。今は、本来に背くを曲(マカル)と云。直なるものは、直ならさるやうに背ことを、曲(マカル)と云。今、此マの音は、火中の水灵にして、元(もと)水は水に明らかに、其躰火の外に有し水の、今火中に與み合て、何れか水とも分らぬやうにくむ音故に、水火別々に有し理(ことはり)に背く也。故に、曲(マカル)也と有。顕云。マカリ、マカルと用(はたらき)てマカの反マ也。p.510(マ)
水中の火灵
◎スは水中の火灵にて、澄也と有れは、水の火の為に空へ立上るの形。p.412(ハ)
◎ア行のイの出息を、引汐か搦みて文なし、ヤ行の入息を起す也。p.429(イ)
◎ユの音は、天の水と地の火と與て起る音の故に、寛(ユルヤカ)の義をなす。p.430(ユ)
◎ユは水中の火灵。p.430(ユ)
◎水か火に與み合ふゆへに、寛(ユルヤカ)なり。p.430(ユ)
◎水火和らき、文(アヤ)に與(クム)の音ゆゑに、。寛(ユルヤカ)なり。p.430(ユ)
◎水中に火交る故に、ユと云。ユは水火の和也。p.430(ユ)
◎春は陰中より陽顕れて、火水和らき與ゆゑに、不寒不熱にして、此時を寛(ユルヤカ)と云。p.430(ユ)
◎君は火、臣は水。其君の火、臣の水と能(よく)和らき與ゆへに、国家ゆるやか也。p.430(ユ)
◎父は火、子は水。父子の水火和らき與む故に、家ゆるやか也。p.430(ユ)
◎火水の和也。p.430(ユ)
◎火は火、水は水なれは、ユにあらす。p.430(ユ)
◎水中に火交る故に、ユと云。p.430(ユ)
◎水火の躰、本(もと)形(カタチ)無く、形(カタチ)顕(アラハレ)て流(ナカルゝ)は、水の用(はたらき)なり。其流るゝ水の用(はたらき)をなすは、水中に火交る故也。水も元(もと)動さるもの。その動さる水を動すものは火也。動くものは水なり。今、ユの音に水中の火の灵とある故に、流水なること弁ふへし。p.431(ユ)
◎今ユの音は火水の灵なりと有て、万物皆(みな)火水の和(やわらく)より顕るゝ。天地の火水の和を離れて、万物なることなし。今、ユの音は、ア行の水とワ行の火と、あやに和(やわ)らくの音故に、万物是より生するの理(ことはり)を含むの故に、従(ヨリ)の心をなす。p.432(ユ)
◎今、ユの音は、水中の火灵なりとありて、火水の交りて躰定むる。故に、万物なる。p.432(ユ)
◎ヤ行のエは、天地の水火文(あや)に與て、露を為(なす)の胞衣故に、たまる水なり。なかれさせ、又たまらさるものは、火の用(はたらき)也。故に、ユもエも、ともに水中の火灵にして、水中に火ある故に、流るゝ水となり、溜る水となる。故に、今エの音に溜る水とある。p.432-433(エ)
◎ヤ行のエは夜の胞衣(エナ)也。是は、夜の八つ時を云。此時は、陽氣の火、陰の水中に潜まりて、水中の火となるか故に、エの音に夜の胞衣と有。p.433(エ)
◎ヤ行のエは眠の胞衣(エナ)也。夜の八つ時、息(イキ)元(もと)の胞衣に納る故に、眠の胞衣なりと云。此語の子は根也。ムは睦む也。息の根に睦(ムツ)むと云こと、根入(子イル)と云こと故に、子ムルことは人のみに非。天地の息も、丑の時には本元の胞衣に入(いる)。人も天地も、ともに本元の胞衣に心を収る。是、根に入か故へに、眠ると云。如レ此、子ムリの胞衣は、時に約すれは丑の時也。これ、水中の火にして、陽の火、陰の水の正中に形(かた)ちを隠す時なり。故に、今エは、水中の火灵なれは、夜の胞衣、眠りの胞衣とある。凡(すべ)て、ヤ行は天地の父母、あやをなすことを宰るの行にして、始にヤイと息を文に与(くみ)、ユに至りては、水火和らき與(くみ)て、流るゝ水となりて、一滴をもらし、其一滴今(いま)此胞衣に至て、ツユと円(まどか)になる。其露と円かなるときは、水の形をなして、火は水中に形を隠す。爰(ここ)か、眠りの胞衣也、夜の胞衣なりと思ふへし。p.433(エ)
◎セは水中の火灵とありて、與(クム)義なり。p.464(セ)
◎サ行は、昇水の灵なれとも、其昇水と、水動き昇るは、ソの音の処にて解か如く、火、水中に有て昇らす也。火のために水動き昇る故に、昇る水の灵の中に、此セの音に水中の火灵と有。則、水火の與み合せ也。其セの形を見て知るへし。p.464(セ)
◎水中の火灵たる、クムのセの音に、ヨロヒなりとある。p.466(セ)
◎スの音は、水中の火灵にして、火は水の底に入りて、形を隠して、水斗(ばか)り昇りて、きよらかなる音の故に、スメル也。p.468(ス)
◎住は水上の所に住するを云とあり。皇国の語にも、水の上に、一つの凝(コリ)の出来たる事なり。即、嶋(シマ)也。凝(コ)るものは火也。しかれは、今スの音は、水中の火灵なれは、ス也と有なり。p.468(ス)
◎火強けれは、鑵中の湯氣澄(ス)み昇るか如し。其昇る水は、ス一にして曲らす。又、飾り無し。故に、スの音に直(ス)也とある。サ行(ソセスシサ)は、昇水の灵の中に、或は水中の火灵、又は火水の灵と差別あることは、心得の有ことにして、昇水の灵とは、水の昇るは、火の為に動かされて昇る。火水を動かすときは、水中に先(まづ)火入されは動かさず。水中に火降り、睦故に、臣(おみ)君(きみ)の命令を受、妻夫の為に動く。是、自然の理(ことはり)なり。昇水の灵の行の中に、火水の灵、水中の火灵、此意味を以て解分くへし。其訳は、初めソの音は、火水の灵にして、水火の與(クミ)初め、次にセの音は弥(いよいよ)火水與の極り也。今、スの音は、火、水中に與み極りて、火の為に動かされて、水昇り初(ソ)むるの音なり。是、一(い)ち行の正中(まなか)なれはなり。ソセと與て、スにて昇るのみの用(はたらき)有る故に、たゝ昇水の灵と有る。是以て、上のカ行の暉火の灵、中に影の火の灵有こと知へし。p.468(ス)
◎実の水は象なし。是を水の躰といふ。象を見する時は水中に火有。故に流(ナガル)。是を火の活用といふ。p.9(水穂伝附言)
水の灵
◎ノの音は、回(メクル)水也。p.437(ノ)
◎ノの音は、出る息の中に、先つ始に位するゆへに、水の灵也とある。p.437(ノ)
◎ノの音は、回(メクル)水の灵也。p.437(ノ)
◎回(メクル)と云は、動きて離さることなり。p.437(ノ)
◎ノの字にて語を回り動かして、しかも又、離れさるも水の用(はたらき)。p.437(ノ)
濁水の灵
◎ルは濁水の灵にして、降ること。p.393(ヲ)
◎ラ行は惣(すべ)て濁水の灵也。故に、澄むは上り、濁るは降る也。p.449(ラ)
◎ラ行は濁水の灵にして、降るなりと有。p.449(ラ)
◎ラ行は、助言をなすにも、言(ことば)の上になく、只(ただ)下(しも)にのみある。p.449(ラ)
◎ラは濁水の灵にして、下(くだ)るゆへなり。p.449(ラ)
◎リは息息(イイ)の両(フタツ)を宰る。p.450(リ)
◎火水の息、逆(さ)からはずして、共に循環するの形をリという。p.450(リ)
◎熱氣の火、口の中に凝るか故に、共に濁水の灵なり。p.452(リ)
◎ラリルレロの濁りは、降(クタル)也。p.468(ス)
・火水の別なく堨ノ水の灵である。
・ラリルレロの濁りは、降(クタル)也。p.468(ス)
影火の灵
◎キは影の火の灵にして、火を産玉へりと云こと也。p.380
◎キは、影火の灵にして、火也。内の火、外の水に與て、内の火弥(いよいよ)盛になりて、芽さしをふかんとする。p.395(ヘ)
◎コは、影の火の灵にして、凝(コ)ること。p.452(コ)
◎真(まこと)の火の躰には、凝る物に非(あらず)。影は火の用(はたらき)にして、降る濁水に引息の火こりこつて、暉き昇る程にこる故に、是をコと云。p.452(コ)
◎水火の和(やはら)きこるなれは、器も則(すなはち)人也。故に、屢(しばしば)説く如く、形をなす者は火水のこりにして、皆人なれはこそ、此一音に器也とある。又、総(すべ)て人の灵とある。押て知るへし。p.453(コ)
◎香(コマカ)とは、水火の凝(コリ)搦(カラム)より付し名也。故に、草木の躰に火水の二つこるか故なり。p.454(コ)
◎基本は皆(みな)水火の二凝(ニコル)と云より外の法則なし。故に、同し一音に細かなり。又香(こま)か也と有る。実に奇々妙々たること也。天地自然の水火の與み離れより、其謂(いは)れをなすと思ふへし。p.455(コ)
◎コの音の水火の凝りは、火、水中に與み凝りて動ざること。p.461(ソ)
◎コの音は凝りて動かざる義より、処(トコロ)と云(いふ)法則出る。p.461(ソ)
◎カ行は、暉火の灵にして、影の火也。故に、キクケコの四言は、影の火の灵と有。p.462(ケ)
◎正火は躰にして、暉く物に非(あらず)。暉く火は用にして、火の影なり。p.462(ケ)
◎火の影は、物を選ひ分る活用(はたらき)有。燈火の光の、物を見分るか如し。p.462(ケ)
◎ケは影の火の灵にして、異(コトナル)也。p.462(ケ)
◎ケは影の火の灵。影の火は火の用(はたらき)により物を分ち、差別(ケチメ)をなす。p.463(ケ)
◎ケに影の火の差別と有なり。p.462(ケ)
◎カ行は、都(すべ)て影の火にして、暉く火の灵なり。真(まこと)の火は、暉くこと也。暉くときは、火の用(はたらき)にして、必(かならず)水に與(クム)。故に、暉(カカヤク)也。其水に與むときは、氣(イキ)降(クタル)也。父の火、母の胎内の水に降(クタリ)與(クム)。是、クの灵なり。故に、イキ降るなりとある。p.466(ク)
◎氣(キ)、則(すなはち)、水火(イキ)也とは、水火すてに凝て、浮ひ出るのいき也。p.470(キ)
◎キの音は、影の火の灵と有て、真(まこと)の火に非す。夫(それ)を何そ日輪と云や。答曰。前に数々解くか如く、真の火に形見へす。形をなす火は、火の用にして、則(すなはち)影也。其形なすときは、火水二つ與み堨されは、形をなさす。今、此キの音は、火水凝て形をなす音の故に、影の火の灵にして、氣なり。p.471(キ)
◎形無きもイキ、形有も共にイキなれとも、形無きをイと云(いひ)、形有をキと云(いふ)。其れを合せて、又イキと云の語をなす故に、イの音に息の字を仮る。キの音に、氣に字仮り用ゆ。キの音は暉く火の一行にして形無、天地のいきより形現せる氣なりと知るへし。故に、今キの音に氣也と有。又、影と云に二種あり。正火より出る影と、影より出る影有と知るへし。p.472(キ)
◎キの音は、形(カタチ)をなすの火水(イキ)にして、形をなすのいきは、火水の凝(コリ)極(キワマル)也。故に、限(カキリ)也とある。p.472(キ)
◎キの音は、形なきの火水凝て、形を現すの息のキの音故に、限(火切)也と有。p.473(キ)
◎キの音は、火水の形をなし初むるの音の故に、生(ウメ)る也と有。都(すべ)て形をなす者は、天地のいきの躰より生(ウマ)るゝ氣(イキ)と知るへし。p.473(キ)
◎カの音は、暉く火灵にして、暉(カゝヤク)は是(これ)火の用(はたらき)にして、正(たたし)き火の躰は暉くものに非す。影は、是(これ)正(たたし)き躰に非す。用(はたらき)なるか故に、暉く火の灵の、カの音に影也と有。惣(すべ)て此一行は、皆(みな)暉火灵也。其中に、キクケコの四音に、影の火の灵と有は、此(この)意(こころ)なりと知へし。p.474(カ)
◎暉く火は躰より別れたる用(はたらき)の影(カケ)の故に、カの音に別(ワカツ)也と有。p.475(カ)
◎カ行は形現するの火なるか故に、火切(カキリ)也と有。今、此サ行は、形現すの水なるか故に、水切(シキリ)也と有。p.488(シ)
火水の灵
◎ヤ行、都(すべ)て火水の灵なり。p.362
◎アは空水の水にして、自(オ)ら也。ヤは和(ヤワラク)こと。水火(イキ)の二つ、自ら和らくことを、アヤと云。惣(すべ)て、物のくみ、模様の舫(もや)ふことをアヤと云。p.425(ヤ)
◎ヤの音は、アワの二音舫ひて、ヤの灵起る故に、アヤ也とある。p.425(ヤ)
◎アとワとの水火あやにくみて、此ヤの音起る故に、水火の二つを宰る。p.428(ヤ)
◎ネの音は、水火(イキ)の根。p.438(ネ)
◎ヌは火水の灵にして、正中(まなか)に位し、火水の根(ネ)に舫ひて、文(あや)分らぬこと。時に合はすれは、夜の八つ時なり。故に、黒(クロキ)也。p.440(ヌ)
◎火の水中に入極也。今日にて云は、夜の八つ時に当る。故に、終也。p.440(ヌ)
◎ヌは火水の正中に與舫ひて、文分らぬを黒き也とある。p.440(ヌ)
◎火水與み舫ひ、文分らぬことならは、何そ黒きと云や。答て曰。クロは水なり。然れは、水になりて火の形なし。火の形なけれは、火水の與とはいはれす。又問。水火與たる形見ゆるならは、文分れて、くみ極るとは云れす。其文分らぬ黒きは、又水の影にあらすやと云に、曰、黒きは水なりといへとも、火を與の水にして、水の一辺に非す。男女の交りは、火水の極りなれとも、其くむ極りに至れは、男の火は女の水中に形を隠して見えぬか如し。p.440-441(ヌ)
◎ヌは水火與て、文分らぬ故に、ヌの音に潤(ウルオフ)也と有。p.441(ヌ)
◎ヌは火水の正中に與み舫ひ極るの故に緯(ヌキ)也と有。p.441(ヌ)
◎ヌは火水の正中に與み入て、火の形隠れて見えぬ故に、〇也。p.441(ヌ)
◎ニは水火の凝り也。天地も、日月も、ともに水火の凝りなり。凡(すべ)て、此一行を含にて、合はすれは、ノの音は夜の四つ時。子の音は、九つ時にあたる。ヌの音は、八つ時に当る。此ニの音は、明六つ時に当る。是、八つ時に、火、水中に與み入て明かなる。是を、ニと云。これ、火水の凝り、日月明暗天地雲泥と差別を知る故に、ニの音は水火の凝なりと有。
◎ネヌの二音は、火水の舫ひなれとも、胎内の義にして、未た見へさる処也。故に、黒也。暗也。水火の根也とあり。p.443(ナ)
◎ナの音は、火水と形顕れて、竟(つひ)に與むの音。p.443(ナ)
◎ナは火水の灵なり。物の和くときは、正中(マナカ)をなす。和がさるときは、正中(マナカ)をなさず。偏(かたよ)りて、過不及を。p.445(ナ)
◎ナ行は、出る息の正中(マナカ)を宰る一行也。其中にも、此ナの一音は、其法則を深く含む故に、別して正中の灵也とある。其ナの形を見ても、過不足なき正中の灵なることを知るへし。p.445(ナ)
◎ナは火水の和(やわら)くの音なる故に、凝(コリ)たる。p.445(ナ)
◎火水の和らき凝るか、即生(な)るなり。穂の生(な)る。実の生(な)る。陰陽の循環して、火水の能(よく)和らく故に、生(な)る也。火水和かされは、実ならす。故に、火水の和くナの音に、生(ナ)る也と有。p.446(ナ)
◎火の躰、水中に入隠るゝを、火水の灵。ソの音に形(かたち)無し。p.456(ソ)
◎火、水中に入て、水、形をなすの音故に、水火(シホ)と云。p.457(ソ)
◎火、水中に與み凝て、胎内に凝りてあれとも、表に見えす。p.461(ソ)
◎昇水の水灵にして、水の用(はたらき)ばかり。火は胎内に隠れて、水を宰る。p.461(ソ)
◎火、水中に入りて凝れとも、形は見えす。水の用(はたらき)ばかり。p.461(ソ)
◎ソは火水の灵にして、水火の與み初め。p.469(ス)
◎テの音は、火水の灵にして、右(みき)左(ひたり)を備ふ。p.499(テ)
◎天の氣は、即水氣(右)。地の氣は、即火垂(左)。此右左の動く故に、手(テ)の音に風(カセ)と有。p.500(テ)
◎人(ヒト)は、天地の水氣、火垂より生るゝか故に、ヒトをテと云。天地の水氣、火垂有か故に、人を手(テ)と云。p.500(テ)
◎火水の灵のテの音は、則水氣、火垂なるか故に、児の灵也とある。今、テの音は一つにして、水氣、火垂ありて、合せて百千の数をなす。p.500(テ)
昇水の灵
◎シは昇水の水の灵。p.379
◎昇水の灵にして、シはすゝむこと。p.412(ハ)
◎サは昇水の灵にて、水の昇り極るの音。p.433(ヤ)
◎スは昇水の灵にして、スメルはひとり昇る也。p.468(ス)
◎昇水の灵とは、水の昇るは、火の為に動かされて昇る。p.469(ス)
◎火水を動かすときは、水中に先(まづ)火入されは動かさず。p.469(ス)
◎水中に火降(クタリ)、睦む故に、臣君の命を受け、妻夫のために働く。p.469(ス)
◎昇水の灵の行の中に、水中の火灵、火水の灵と差別ある。p.469(ス)
◎暉く火のカの灵起る。随て、昇る水のシの灵の水起る。p.479(カ)
◎シの音は、昇水の灵にして、万物の初めを宰る。先に解か如く、動く物は水にして、動かしむる物は火なり。火の為に水動されて、始めて形を現して昇る。故に、今(いま)昇水の灵のシの音に始也と有。p.479(シ)
◎万物の始めは皆(みな)水也。故に、昇水の灵のシの音に、始め也と有。p.480(シ)
◎シの音は、昇水の灵にして、終りの義なるか故に、死(シ)也と有也。p.482(シ)
◎シの音は、昇水の灵の始めをなすの音故に、オノレ也有。p.483(シ)
◎シの音は、昇水の灵にして、初めソセスと水中に火與(ク)みて、火の為に水今(いま)動き、進み昇りて、正しく割分らんとする音の故、幸也と有。是シは、割分れんとする始め也。サは正しく割分れのとき也と当レ知。顕云サイハイとはサは割分こと。イは息のこと。ハは発のこと。心は今近苦しみし息をサキワケ又息を発くを云如レ是して発解す。p.484(シ)
◎シは昇水灵にして、進み昇り、割分んとする故に、司ると有。p.484(シ)
◎昇水灵は、ツカサなることと知るへし。p.484(シ)
◎シは昇水の灵にして、水は能(よく)物を育つる用(はたらき)あり。火は物を損する物なり。草木の花を火の中に入るれは、惣(たちま)ちにしほむ。水に止むるときは、永く育つ。父の火、能(よく)息の本はなせとも、育つは母の水にあり。第一義、是也。故に、今は水灵のシ音のゆへに、育つなりとある。p.485(シ)
◎シの音は昇水の灵にして、濁れるは降り、スメルは昇る音の故に、育(ソタツ)也とあり。p.486(シ)
◎昇水の灵の故に、出る水なることを知るへし。p.486(シ)
◎印(シルシ)とは形現れ明に定ることを云。是、形無きいき凝りて、水は明に形を現して、昇る音の故に、印し也と有。p.486(シ)
◎シは昇水の灵にして、進み昇る音の故に、進(スヽム)也とある。p.487(シ)
◎形無き水の形(かた)ちを現して、進み昇り、其進み昇る昇水に、神灵宿りては、月夜見の尊となりて、四海を照す。たとえは、神灵備はらすとも、水河海に溢れ、天を回りて、万物を育つ。皆是、形現るゝの昇水の用(はたらき)也。これを茂(シゲル)ると云。p.487(シ)
◎形なす昇水は、火限(カキリ:火切)有。故に、空水は形無故に、かぎりをなさす。p.487(シ)
◎形現すの水は、水限なす故に、物に障へられて、舟に乗らされは渡られす。形現はすの水のゆゑ也。有所あり、無き所あり。p.487(シ)
◎シの音は昇水の灵にして、形現はすの水故に、今シキリなりと有。上のカ行は形現するの火なるか故に、火切(カキリ)也と有。今、此サ行は、形現すの水なるか故に、水切(シキリ)也と有。p.488(シ)
◎サ行は、都(すべ)て昇水の灵。ソセスシと水昇り進みて、サの音は昇り極りて割別(サキワカルゝ)也。統(すべ)て一切の物、進み極れは、さき分るゝもの也。一粒の籾、進み昇りて万倍となる。万物皆(みな)如レ此。元(もと)は一にして、進み昇れは割分るゝもの也。今、此サの音は、昇水の極りの故に、割別るゝ也。細也。割分るゝの故也。p.488(サ)
◎誘(サソフ)とは、サは割別(サキワカルゝ)こと。ソは揃(ソロフ)ことにして、躰は別にして有乍(ありながら)、セスシと昇る迄は、只(ただ)一にして別れぬに、今サは其一に昇る水の、割分るゝの音也。しかれとも、割分るゝなれとも、揃(ソロ)ふて乱れす。是を、誘(サソフ)と云。友を誘ふなとも、彼れと是と躰は別なれとも、揃へ行くを誘ふと云。如レ此、水は物を睦むの故に、割分るゝと云も、又離れすして誘ふ故に、さそふ水に有。小町の哥に、さそふ水あらはいなんとそ思ふ、と詠也なとは、能(よ)く詠得たる名哥也。今、昇水の灵のサの音なる故に、誘ふ也と有。顕云。イサナフと云は、イは息也。サは割別(サキワカルゝ)こと。ナは双(ナラフ)こと。イサナヒ・イサナフと、ヒフの活用(はたらき)にて省け、割別れたる息をならへると云ことにて、他人とならふと云ふことにて、誘(サソフ)なり。p.489(サ)
◎サ行は、昇水の灵にして、背(うし)ろを宰りて母の灵也。故に、育つの義をなす。上のシの音に、育つ也と有。p.504(ト)
暉火の灵
◎カは暉火の灵にして、重く強き也。p.398(ヱ)★
◎カは暉火の灵にして、即(すなはち)火也。p.413(ハ)
◎カは暉火の灵にして、火の昇る灵。p.413(ハ)
◎カは暉火の灵にして、きれきれになること。p.413(ハ)
◎カは暉火の灵にして、火盛に昇り極る。p.433(ヤ)
◎カ行の暉火の灵、中に影の火の灵有。p.469(ス)
◎カの音は、暉く火灵にして、暉は是(これ)火の用(はたらき)にして、正き火の躰は暉くものに非す。影は、是(これ)正しき躰に非す。用(はたらき)なるか故に、暉く火の灵の、カの音に影也と有。惣(すべ)て此一行(カ行)は、皆(みな)暉火灵也。p.475(カ)
◎暉火は躰より別(ワカ)れたる火の用(はたらき)の影(カケ)。p.475(カ)
◎カは暉火灵にして、陽の昇る相(すがた)也。p.476(カ)
◎カの音は、暉く火にして、昇ることなれとも、かゝやくと迄はいはるれとも、昇るとは云はす。たかき也とあれとも、司とはなし。p.485(シ)
◎カは、暉く火の灵にして、火の用(はたらき)也。火の躰には非。火の躰は形なく、又暉くものに非す。其かゝやかさる火の躰に、うごき違ふて水に與みて、暉くカの音故に、疑(ウタカヒ)也と有。p.477(カ)
◎カ行は暉く火の灵にして、古事記神代の巻の、天照大神也。サ行は月読の尊にして、是(これ)を地神の部に入(いれ)、形をなし、初にして終りをなす。隠レ身(シヲ)在(まします)天神の如くには非。形をなす物は、必(かならず)初め有。又、終り有。朝 東に暉て、夕べに西へ入。是(これ)、形有の相(すがた)也。故に、今(いま)形顕すの、暉火灵のカ音に限ると也と有。p.477(カ)
◎カは暉の火にして、木のことを云と知るへし。木は火のいきの形。今、此カの音は、形無き火の形を現(あらは)したる木にして、暉(かがや)く火のカの音に、草也と有。松なとを、草と云ときの草(キ)也。タマハヾキ、是も亦(また)松のこと也。p.478(カ)
◎暉く火のカの灵起る。随て、昇る水のシの灵の水起る。p.479(カ)
◎カサヽキのカは暉火灵にして、火にさきさきて、幸(サイハイ)をなすと云語也。日出れは光り暉き、天地万物の差別を分て、照して、幸(サイハイ)をすると云語也。p.484(シ)

記事更新日:2026/10/06
◎ムは、火中の水灵にして、水、火に與みて、睦むの音なる故に、結也と有。p.512(ム)
◎ムの音は、火中に水與(クミ)結(ムスフ)の音の故に、睦(ムツム)也と有。p.512(ム)
◎ムの音は、火中に水睦むの故に、〇(ワ)をなして渦巻也と有。p.513(ム)
◎鼎に水を入て火を焚くときは、火中の水となりて、必ず渦巻なり。火中の水灵なるか故に、ムの音に
渦巻也と有。p.513(ム)
◎火中に水與(クミ)堨(カタマル)故に、黒(クロ)也と有。p.513(ム)
◎ムの音は、火中に水與(クム)の音なり。p.513(ム)
◎ムの音は、火中に水與(クム)の音にして、火中に水與むときは、即(すなはち)消失(ウシナヘル)也。先に解か如く、鼎(かなえ)の水の火の為に、きえうせるか如し。惣て、万物與み究るとき、消失せるもの也。一粒の米も、天地のいきの凝なれとも、凝り究れは、水氣放れて、かれかれになり、消失(キエウスル)也。花も、陽の火に凝(コ)らされて開くも、凝り究れは、散失(キエウセル)也。p.513(ム)
◎ムの音は、睦むの義にして、火中の水灵なり。其睦み究れは、竟に形隠して、無(ム)に至る。是を空(ムナシ)き也と云。是を、イキの終りと云。故に、カ行サ行の形顕せし、火水の與み究りて、其形を本源に隠して、黒き也と有。p.514(ム)
◎マ行は、惣(すべ)て火中の水灵にして、円(マロキ)を宰て、光なき空躰の水、火中に向ひ合て、光りを放つ一行なり。p.516(マ)
◎マは、五十連の結ひ言にして、初めホの一言より起り、アワの二つ現して、二に凝はいよいよ降り、澄めるはいよいよ昇り、天地の文目分れ、其分かれし天地の火水又(また)與み合て、本(モト)のホをなす。その根本のホをなさんとて、今火中へ水與み搦む。至極の音也。p.516(マ)
◎眼(マナコ)は、マは向こと。ナは並ふこと。コは息の凝ることにして、イキ(水火)とは、則(すなはち)日月也。右は水にして、眼は月を宰り、左は火にして、眼は日を宰り、故にマナコとは、いき凝りて並ふと云名也。今、マの音は、火中の水にして、イキ凝並ふの音の故に、眼也と有。p.516(マ)
◎マの音は、火中の水、群り與むの故に、回(メクル)なりと有。p.517(マ)
◎マの音は、元(もと)水は水、火は火と分れしものか、水、火中に與合せて、何れか水とも、何れか火とも、竟(つひ)に分らぬやうになる。是を、曲(マカル)と云。今は、本来に背くを曲(マカル)と云。直なるものは、直ならさるやうに背ことを、曲(マカル)と云。今、此マの音は、火中の水灵にして、元(もと)水は水に明らかに、其躰火の外に有し水の、今火中に與み合て、何れか水とも分らぬやうにくむ音故に、水火別々に有し理(ことはり)に背く也。故に、曲(マカル)也と有。顕云。マカリ、マカルと用(はたらき)てマカの反マ也。p.510(マ)
水中の火灵
◎スは水中の火灵にて、澄也と有れは、水の火の為に空へ立上るの形。p.412
◎ア行のイの出息を、引汐か搦みて文なし、ヤ行の入息を起す也。p.429(イ)
◎ユの音は、天の水と地の火と與て起る音の故に、寛(ユルヤカ)の義をなす。p.430(ユ)
◎ユは水中の火灵。p.430(ユ)
◎水か火に與み合ふゆへに、寛(ユルヤカ)なり。p.430(ユ)
◎水火和らき、文(アヤ)に與(クム)の音ゆゑに、。寛(ユルヤカ)なり。p.430(ユ)
◎水中に火交る故に、ユと云。ユは水火の和也。p.430(ユ)
◎春は陰中より陽顕れて、火水和らき與ゆゑに、不寒不熱にして、此時を寛(ユルヤカ)と云。p.430(ユ)
◎君は火、臣は水。其君の火、臣の水と能(よく)和らき與ゆへに、国家ゆるやか也。p.430(ユ)
◎父は火、子は水。父子の水火和らき與む故に、家ゆるやか也。p.430(ユ)
◎火水の和也。p.430(ユ)
◎火は火、水は水なれは、ユにあらす。p.430(ユ)
◎水中に火交る故に、ユと云。p.430(ユ)
◎水火の躰、本(もと)形(カタチ)無く、形(カタチ)顕(アラハレ)て流(ナカルゝ)は、水の用(はたらき)なり。其流るゝ水の用(はたらき)をなすは、水中に火交る故也。水も元(もと)動さるもの。その動さる水を動すものは火也。動くものは水なり。今、ユの音に水中の火の灵とある故に、流水なること弁ふへし。p.431(ユ)
◎今ユの音は火水の灵なりと有て、万物皆(みな)火水の和(やわらく)より顕るゝ。天地の火水の和を離れて、万物なることなし。今、ユの音は、ア行の水とワ行の火と、あやに和(やわ)らくの音故に、万物是より生するの理(ことはり)を含むの故に、従(ヨリ)の心をなす。p.432(ユ)
◎今、ユの音は、水中の火灵なりとありて、火水の交りて躰定むる。故に、万物なる。p.432(ユ)
◎ヤ行のエは、天地の水火文(あや)に與て、露を為(なす)の胞衣故に、たまる水なり。なかれさせ、又たまらさるものは、火の用(はたらき)也。故に、ユもエも、ともに水中の火灵にして、水中に火ある故に、流るゝ水となり、溜る水となる。故に、今エの音に溜る水とある。p.432-433(エ)
◎ヤ行のエは夜の胞衣(エナ)也。是は、夜の八つ時を云。此時は、陽氣の火、陰の水中に潜まりて、水中の火となるか故に、エの音に夜の胞衣と有。p.433(エ)
◎ヤ行のエは眠の胞衣(エナ)也。夜の八つ時、息(イキ)元(もと)の胞衣に納る故に、眠の胞衣なりと云。此語の子は根也。ムは睦む也。息の根に睦(ムツ)むと云こと、根入(子イル)と云こと故に、子ムルことは人のみに非。天地の息も、丑の時には本元の胞衣に入(いる)。人も天地も、ともに本元の胞衣に心を収る。是、根に入か故へに、眠ると云。如レ此、子ムリの胞衣は、時に約すれは丑の時也。これ、水中の火にして、陽の火、陰の水の正中に形(かた)ちを隠す時なり。故に、今エは、水中の火灵なれは、夜の胞衣、眠りの胞衣とある。凡(すべ)て、ヤ行は天地の父母、あやをなすことを宰るの行にして、始にヤイと息を文に与(くみ)、ユに至りては、水火和らき與(くみ)て、流るゝ水となりて、一滴をもらし、其一滴今(いま)此胞衣に至て、ツユと円(まどか)になる。其露と円かなるときは、水の形をなして、火は水中に形を隠す。爰(ここ)か、眠りの胞衣也、夜の胞衣なりと思ふへし。p.433(エ)
◎セは水中の火灵とありて、與(クム)義なり。p.464(セ)
◎サ行は、昇水の灵なれとも、其昇水と、水動き昇るは、ソの音の処にて解か如く、火、水中に有て昇らす也。火のために水動き昇る故に、昇る水の灵の中に、此セの音に水中の火灵と有。則、水火の與み合せ也。其セの形を見て知るへし。p.464(セ)
◎水中の火灵たる、クムのセの音に、ヨロヒなりとある。p.466(セ)
◎スの音は、水中の火灵にして、火は水の底に入りて、形を隠して、水斗(ばか)り昇りて、きよらかなる音の故に、スメル也。p.468(ス)
◎住は水上の所に住するを云とあり。皇国の語にも、水の上に、一つの凝(コリ)の出来たる事なり。即、嶋(シマ)也。凝(コ)るものは火也。しかれは、今スの音は、水中の火灵なれは、ス也と有なり。p.468(ス)
◎火強けれは、鑵中の湯氣澄(ス)み昇るか如し。其昇る水は、ス一にして曲らす。又、飾り無し。故に、スの音に直(ス)也とある。サ行(ソセスシサ)は、昇水の灵の中に、或は水中の火灵、又は火水の灵と差別あることは、心得の有ことにして、昇水の灵とは、水の昇るは、火の為に動かされて昇る。火水を動かすときは、水中に先(まづ)火入されは動かさず。水中に火降り、睦故に、臣(おみ)君(きみ)の命令を受、妻夫の為に動く。是、自然の理(ことはり)なり。昇水の灵の行の中に、火水の灵、水中の火灵、此意味を以て解分くへし。其訳は、初めソの音は、火水の灵にして、水火の與(クミ)初め、次にセの音は弥(いよいよ)火水與の極り也。今、スの音は、火、水中に與み極りて、火の為に動かされて、水昇り初(ソ)むるの音なり。是、一(い)ち行の正中(まなか)なれはなり。ソセと與て、スにて昇るのみの用(はたらき)有る故に、たゝ昇水の灵と有る。是以て、上のカ行の暉火の灵、中に影の火の灵有こと知へし。p.468(ス)
◎火に位するカ行の伊邪那岐(イザナキ)の氣(イキ)と、水に位するサ行の伊邪那美(イザナミ)の氣(イキ)と、與(クミ)舫(モヤヒ)て、天に立(タチ)昇(ノホリ)、水火(イキ)御合(ミアヒ)連(ツラナリ)円(マロカリ)て、伊邪那岐(イザナキ)の氣(イキ)は水中の火の一滴となりて降(クタリ)、万物の灵根を宰るタ行となる。その灵(タマ)よりタの灵起り、一より百千万の数に至(イタル)の義をなす。p.369
◎カ行サ行起りて、澄む物は昇りて天となり、濁るものは降りて地となる。人の言語の差別をなす。しかれは、此二柱(ふたはしら)のいき和して、伊弉諾のいき、伊弉冊のいきに入て、水中の火となりて下る。これをタ行と云。p.490(タ)
◎灵(タマ)とは、伊弉諾のいき、伊弉冊の水中に降りて灵をなす。故に、水中の火灵とある。p.490(タ)
◎タの音は、水中の火灵にして、父の火、母の胎内の水中に垂(タリ)て、灵(タマ)をなすの音也。故に、息の根なり。p.491(タ)
◎タの音は、水中の火灵にして、万物の灵也。種也。故に、是より大いなる物なし。今、天地と開け、万物と広かるも、其本(モト)は伊弉諾、伊弉冊の二柱の火水(カミ)與玉へる、一滴のタマより生る。一滴の灵(タマ)、割別れて天地万物となり、子々孫々となりて、永世尽ることなし。故に、大(オホイ)なるものは、水中の火灵の一滴にすきたるものなし。p.491(タ)
◎タは、水中の火灵の一滴の灵をなす音のゆへに、溜水とある。p.492(タ)
◎タの音は、水中の火灵にして、万物の灵也。種也。万物、一つの灵の種より開けたるものにして、万物本(モト)一つの灵(タマ)にして、違はさるもの也。故に、タは正(タヽシキ)也と有。若(もしくは)、意と意と合ふかゆゑに、正しと云也。既に、種(タネ)のタの灵起るに順ふて、一より百千に及ふのチの灵起る。p.493(タ)
◎チの音は、水中の火灵。胎内の火灵。p.493(チ)
◎父の火、母の水の胎内に宿(ヤトル)の音故に、胎内の火也と有。p.493(チ)
◎父の火、母の水中に垂りて、玉(タマ)をなし、種(タネ)となる。p.493(チ)
◎其種(タネ)、一粒にして百千の数に至(イタル)るチの灵起る。p.493(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、胎内の火なるか故に、これ血(チシホ)也と有。血(チシホ)の赤きは、直に火の色なり。故に、血に穢れたるときは、火を以(もて)清むる。是、チと火と同躰なるを以(もて)、チにかへて火を改むる也。尤(もっとも)、血の流るゝときは水にして、是(これ)火水なり。又、水火(シホ)なり。其ときは、チとは云す、ノリと云。ノは水なり。水火の二凝(ニコリ=濁)の降(クタ)る也。故に、流るゝに名をなす。血(チ)と云は、胎内の火なるを云。今、チの音は水中の火灵にして、胎内の火なるか故に、チシホなりと有。地中の火と、胎内の火と、人に有ては胎内の火、天地に有ては地中の火。然れは、ヒの音は、天を回るの火。スの音は、水中の火。チの音は、地中の火。この法則(のり)を以(もて)、ヒチスの三言同灵同義をなして、相通すると知るへし。p.493(チ)
◎タ行は水中の火にして、暉く火の灵の現るへき氣の隠れたる処也。p.494(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、母の鏡の水中へ、父の剣の火和らき睦むの音故に、ツルキ也とある。是、イキをツルム(本語ツルクム也)のこと也。p.495(チ)
◎チの音は、水中へ火與みて、一より百千に動くの義をなす。p.495(チ)
◎母の水中の火は、父の一滴たりたるの故に、チは父の灵とある也。p.495(チ)
◎今日息をなすの本は、父の一滴也。p.495(チ)
◎水中の火灵は、息(イキ)の本にして、チ也。息の本也。p.496(チ)
◎チは、一より百千に及ひて、息の本をなす。p.496(チ)
◎チは、水中の火灵にして、息の本なるか故に、五穀也。p.496(チ)
◎鳥(トリ)は陰中の陽物なるか故に、今火中の水灵とあり。チの音に鳥の灵也と有。p.496(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、一つの物のホチ(ヽ)の最初なり。p.496(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、息の本(もと)なり。p.496(チ)
◎カ行サ行起りて、澄む物は昇りて天となり、濁るものは降りて地となる。人の言語の差別をなす。しかれは、此二柱(ふたはしら)のいき和して、伊弉諾のいき、伊弉冊のいきに入て、水中の火となりて下る。これをタ行と云。p.490(タ)
◎灵(タマ)とは、伊弉諾のいき、伊弉冊の水中に降りて灵をなす。故に、水中の火灵とある。p.490(タ)
◎タの音は、水中の火灵にして、父の火、母の胎内の水中に垂(タリ)て、灵(タマ)をなすの音也。故に、息の根なり。p.491(タ)
◎タの音は、水中の火灵にして、万物の灵也。種也。故に、是より大いなる物なし。今、天地と開け、万物と広かるも、其本(モト)は伊弉諾、伊弉冊の二柱の火水(カミ)與玉へる、一滴のタマより生る。一滴の灵(タマ)、割別れて天地万物となり、子々孫々となりて、永世尽ることなし。故に、大(オホイ)なるものは、水中の火灵の一滴にすきたるものなし。p.491(タ)
◎タは、水中の火灵の一滴の灵をなす音のゆへに、溜水とある。p.492(タ)
◎タの音は、水中の火灵にして、万物の灵也。種也。万物、一つの灵の種より開けたるものにして、万物本(モト)一つの灵(タマ)にして、違はさるもの也。故に、タは正(タヽシキ)也と有。若(もしくは)、意と意と合ふかゆゑに、正しと云也。既に、種(タネ)のタの灵起るに順ふて、一より百千に及ふのチの灵起る。p.493(タ)
◎チの音は、水中の火灵。胎内の火灵。p.493(チ)
◎父の火、母の水の胎内に宿(ヤトル)の音故に、胎内の火也と有。p.493(チ)
◎父の火、母の水中に垂りて、玉(タマ)をなし、種(タネ)となる。p.493(チ)
◎其種(タネ)、一粒にして百千の数に至(イタル)るチの灵起る。p.493(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、胎内の火なるか故に、これ血(チシホ)也と有。血(チシホ)の赤きは、直に火の色なり。故に、血に穢れたるときは、火を以(もて)清むる。是、チと火と同躰なるを以(もて)、チにかへて火を改むる也。尤(もっとも)、血の流るゝときは水にして、是(これ)火水なり。又、水火(シホ)なり。其ときは、チとは云す、ノリと云。ノは水なり。水火の二凝(ニコリ=濁)の降(クタ)る也。故に、流るゝに名をなす。血(チ)と云は、胎内の火なるを云。今、チの音は水中の火灵にして、胎内の火なるか故に、チシホなりと有。地中の火と、胎内の火と、人に有ては胎内の火、天地に有ては地中の火。然れは、ヒの音は、天を回るの火。スの音は、水中の火。チの音は、地中の火。この法則(のり)を以(もて)、ヒチスの三言同灵同義をなして、相通すると知るへし。p.493(チ)
◎タ行は水中の火にして、暉く火の灵の現るへき氣の隠れたる処也。p.494(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、母の鏡の水中へ、父の剣の火和らき睦むの音故に、ツルキ也とある。是、イキをツルム(本語ツルクム也)のこと也。p.495(チ)
◎チの音は、水中へ火與みて、一より百千に動くの義をなす。p.495(チ)
◎母の水中の火は、父の一滴たりたるの故に、チは父の灵とある也。p.495(チ)
◎今日息をなすの本は、父の一滴也。p.495(チ)
◎水中の火灵は、息(イキ)の本にして、チ也。息の本也。p.496(チ)
◎チは、一より百千に及ひて、息の本をなす。p.496(チ)
◎チは、水中の火灵にして、息の本なるか故に、五穀也。p.496(チ)
◎鳥(トリ)は陰中の陽物なるか故に、今火中の水灵とあり。チの音に鳥の灵也と有。p.496(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、一つの物のホチ(ヽ)の最初なり。p.496(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、息の本(もと)なり。p.496(チ)
◎チの音は、水中の火灵にして、一(ヒトツ)物のホチ(ヽ)の最初なり。p.497(チ)
◎チの音は、父(チチ)の一滴の一物、其物に隔(ヘタテ)を入て、百千に及ふの音也。p.497(チ)
◎上に一つ也と有て、中間に年月日時の灵なりと有は、元旦の暁(あかつき)に、水中の火の、天の御中主の一物與みて時をなし、時をつゝめて日をなし、日をつゝめて月をなし、月をつゝめて年をなす。如レ是、元旦のヽ(ホチ)の一滴より起りて、年月日時の隔(ヘタテ)をなす故に、今一つのヽ(ホチ)より百千に及ひて、チの音三つ也。p.497(チ)
◎ヒは天を回る火。チは地中の火。是、同灵なり。p.497(チ)
◎ツの音は、火中の水灵にして、火中の水は必(かならず)渦巻(ウツマク)也。p.498(ツ)
◎約ツヽは、火中の水灵の音なれは、渦巻(ウツマキ)潜(ヒソマル)より出る法則。p.499(ツ)
◎トの音は、水中の火灵にして、其水はヲミナ(女)なり。其水に與む火は、男(ヲトコ)なり。故に、今男也と有。p.502(ト)
◎水中の火の、與み與みて堨(カタマル)ことを、轟(トヽロク)と云。今、現に、水中に火を入るれは、必す声を発して轟く。今、此トの音は、水中の火灵なるか故に、轟也と有。p.502(ト)
◎チの音は、父(チチ)の一滴の一物、其物に隔(ヘタテ)を入て、百千に及ふの音也。p.497(チ)
◎上に一つ也と有て、中間に年月日時の灵なりと有は、元旦の暁(あかつき)に、水中の火の、天の御中主の一物與みて時をなし、時をつゝめて日をなし、日をつゝめて月をなし、月をつゝめて年をなす。如レ是、元旦のヽ(ホチ)の一滴より起りて、年月日時の隔(ヘタテ)をなす故に、今一つのヽ(ホチ)より百千に及ひて、チの音三つ也。p.497(チ)
◎ヒは天を回る火。チは地中の火。是、同灵なり。p.497(チ)
◎ツの音は、火中の水灵にして、火中の水は必(かならず)渦巻(ウツマク)也。p.498(ツ)
◎約ツヽは、火中の水灵の音なれは、渦巻(ウツマキ)潜(ヒソマル)より出る法則。p.499(ツ)
◎トの音は、水中の火灵にして、其水はヲミナ(女)なり。其水に與む火は、男(ヲトコ)なり。故に、今男也と有。p.502(ト)
◎水中の火の、與み與みて堨(カタマル)ことを、轟(トヽロク)と云。今、現に、水中に火を入るれは、必す声を発して轟く。今、此トの音は、水中の火灵なるか故に、轟也と有。p.502(ト)
◎解(トクル)とは、トは與(クム)こと。クも與(クム)こと。水中の火の與むを、解(トク)と云。偖(さて)、こゝに心得あり。水をトクと云も、與(クミ)凝(コリ)て有ものを発つの語。今、與(クミ)與(クム)の義なるを、物を放つことに用ゆるは、心得かたきやうなれとも、本来の語を能(よく)解(トク)へし。氷は、只(ただ)氷の儘(まま)にてはとけす。其氷に、春の陽氣の火か 與(クミ)結ひたる故に、氷もモトの水に解(トクル)也。是を、トクと云。 又、解(トク)と云語を解(トク)にも、其音に法則與(ク)ませて解(トキ)分(ワカ)る也。帯も結ひたるに、手を與(クミ)入て解(トク)也。如レ是、水中へ火與(クム)か故に、解(トケル)。故に、水中の火灵なるトの音に、トクル也と有。p.502(ト)
◎トの音は、カの火、此水中に與(クム)の音なる故に、トフ也と有也。p.502(ト)
◎トの音は、火、水中に與の音にして、火、水中に與めは、万物基(モト)をなすか故に、モト也。p.503(ト)
◎トの音は、カの火、此水中に與(クム)の音なる故に、トフ也と有也。p.502(ト)
◎トの音は、火、水中に與の音にして、火、水中に與めは、万物基(モト)をなすか故に、モト也。p.503(ト)
◎タ行は、水中の火灵にして、一つの灵をなし、一より百千に及ひ及ふの基也。p.503(ト)
◎トの音、地に位して、上の四音を束ねて、ことに重き故に、別て基(モト)也と有。p.503(ト)
◎火の水に與むの、水中の火灵なるか故に、人也と有。火水の與むを、ヒトと云か故に、トの音に人也と有。白ふ人、黒ふ人、仲ふ人なとのトは、皆人のことと思ふへし。p.503(ト)
◎止也。トトムとは、トトの反トにして、トは與こと。ムは睦むこと。與睦を、トヽムと云。今、水の中に火與み睦みて、玉をなして、更に変ことなく、永世尽ることなし。故に、トヽムと云。人のこゝに止マル(マルの反ム)と云も、能(よく)睦みて動かさるを云。今、トの音は、水中に火與み睦みて、玉をなして、更に変らさるの音故に、止(トヽム)也と有。タチツテトは、玉(タマ)つゝきて、今爰(ここ)に止まることにして、ヒフミヨイムナヤコトと、止り終る也。p.503(ト)
◎水中の火灵のヽ(ホチ)割分れて、百千に及ふトの音故に、昇也と有。p.503(ト)
◎トの音は水中に火與みて、一物のヽ(ホチ)をなし、百千に及ふの音故に、速(ハヤキ)也と有。p.504(ト)
◎トの音は、水中に火與みて、與み褐る故に、所(トコロ)也と有。p.504(ト)
◎タ行は、統(すべ)て水中の火灵にして、一より百千に及ふ父の灵なり。◎トの音、地に位して、上の四音を束ねて、ことに重き故に、別て基(モト)也と有。p.503(ト)
◎火の水に與むの、水中の火灵なるか故に、人也と有。火水の與むを、ヒトと云か故に、トの音に人也と有。白ふ人、黒ふ人、仲ふ人なとのトは、皆人のことと思ふへし。p.503(ト)
◎止也。トトムとは、トトの反トにして、トは與こと。ムは睦むこと。與睦を、トヽムと云。今、水の中に火與み睦みて、玉をなして、更に変ことなく、永世尽ることなし。故に、トヽムと云。人のこゝに止マル(マルの反ム)と云も、能(よく)睦みて動かさるを云。今、トの音は、水中に火與み睦みて、玉をなして、更に変らさるの音故に、止(トヽム)也と有。タチツテトは、玉(タマ)つゝきて、今爰(ここ)に止まることにして、ヒフミヨイムナヤコトと、止り終る也。p.503(ト)
◎水中の火灵のヽ(ホチ)割分れて、百千に及ふトの音故に、昇也と有。p.503(ト)
◎トの音は水中に火與みて、一物のヽ(ホチ)をなし、百千に及ふの音故に、速(ハヤキ)也と有。p.504(ト)
◎トの音は、水中に火與みて、與み褐る故に、所(トコロ)也と有。p.504(ト)
◎実の水は象なし。是を水の躰といふ。象を見する時は水中に火有。故に流(ナガル)。是を火の活用といふ。p.9(水穂伝附言)
水の灵
◎ノの音は、回(メクル)水也。p.437(ノ)
◎ノの音は、出る息の中に、先つ始に位するゆへに、水の灵也とある。p.437(ノ)
◎ノの音は、回(メクル)水の灵也。p.437(ノ)
◎回(メクル)と云は、動きて離さることなり。p.437(ノ)
◎ノの字にて語を回り動かして、しかも又、離れさるも水の用(はたらき)。p.437(ノ)
濁水の灵
◎ルは濁水の灵にして、降ること。p.393
◎ラ行は惣(すべ)て濁水の灵也。故に、澄むは上り、濁るは降る也。p.449(ラ)
◎ラ行は濁水の灵にして、降るなりと有。p.449(ラ)
◎ラ行は、助言をなすにも、言(ことば)の上になく、只(ただ)下(しも)にのみある。p.449(ラ)
◎ラは濁水の灵にして、下(くだ)るゆへなり。p.449(ラ)
◎リは息息(イイ)の両(フタツ)を宰る。p.450(リ)
◎火水の息、逆(さ)からはずして、共に循環するの形をリという。p.450(リ)
◎熱氣の火、口の中に凝るか故に、共に濁水の灵なり。p.452(リ)
◎ラリルレロの濁りは、降(クタル)也。p.468
・火水の別なく堨ノ水の灵である。
・ラリルレロの濁りは、降(クタル)也。p.468
影火の灵
◎キは影の火の灵にして、火を産玉へりと云こと也。p.380
◎キは、影火の灵にして、火也。内の火、外の水に與て、内の火弥(いよいよ)盛になりて、芽さしをふかんとする。p.395(ヘ)
◎コは、影の火の灵にして、凝(コ)ること。p.452(コ)
◎真(まこと)の火の躰には、凝る物に非(あらず)。影は火の用(はたらき)にして、降る濁水に引息の火こりこつて、暉き昇る程にこる故に、是をコと云。p.452(コ)
◎水火の和(やはら)きこるなれは、器も則(すなはち)人也。故に、屢(しばしば)説く如く、形をなす者は火水のこりにして、皆人なれはこそ、此一音に器也とある。又、総(すべ)て人の灵とある。押て知るへし。p.453(コ)
◎香(コマカ)とは、水火の凝(コリ)搦(カラム)より付し名也。故に、草木の躰に火水の二つこるか故なり。p.454(コ)
◎基本は皆(みな)水火の二凝(ニコル)と云より外の法則なし。故に、同し一音に細かなり。又香(こま)か也と有る。実に奇々妙々たること也。天地自然の水火の與み離れより、其謂(いは)れをなすと思ふへし。p.455(コ)
◎コの音の水火の凝りは、火、水中に與み凝りて動ざること。p.461
◎コの音は凝りて動かざる義より、処(トコロ)と云(いふ)法則出る。p.461
◎カ行は、暉火の灵にして、影の火也。故に、キクケコの四言は、影の火の灵と有。p.462(ケ)
◎正火は躰にして、暉く物に非(あらず)。暉く火は用にして、火の影なり。p.462(ケ)
◎火の影は、物を選ひ分る活用(はたらき)有。燈火の光の、物を見分るか如し。p.462(ケ)
◎ケは影の火の灵にして、異(コトナル)也。p.462(ケ)
◎ケは影の火の灵。影の火は火の用(はたらき)により物を分ち、差別(ケチメ)をなす。p.463(ケ)
◎ケに影の火の差別と有なり。p.462(ケ)
◎カ行は、都(すべ)て影の火にして、暉く火の灵なり。真(まこと)の火は、暉くこと也。暉くときは、火の用(はたらき)にして、必(かならず)水に與(クム)。故に、暉(カカヤク)也。其水に與むときは、氣(イキ)降(クタル)也。父の火、母の胎内の水に降(クタリ)與(クム)。是、クの灵なり。故に、イキ降るなりとある。p.466(ク)
◎氣(キ)、則(すなはち)、水火(イキ)也とは、水火すてに凝て、浮ひ出るのいき也。p.470(キ)
◎キの音は、影の火の灵と有て、真(まこと)の火に非す。夫(それ)を何そ日輪と云や。答曰。前に数々解くか如く、真の火に形見へす。形をなす火は、火の用にして、則(すなはち)影也。其形なすときは、火水二つ與み堨されは、形をなさす。今、此キの音は、火水凝て形をなす音の故に、影の火の灵にして、氣なり。p.471(キ)
◎形無きもイキ、形有も共にイキなれとも、形無きをイと云(いひ)、形有をキと云(いふ)。其れを合せて、又イキと云の語をなす故に、イの音に息の字を仮る。キの音に、氣に字仮り用ゆ。キの音は暉く火の一行にして形無、天地のいきより形現せる氣なりと知るへし。故に、今キの音に氣也と有。又、影と云に二種あり。正火より出る影と、影より出る影有と知るへし。p.472(キ)
◎キの音は、形(カタチ)をなすの火水(イキ)にして、形をなすのいきは、火水の凝(コリ)極(キワマル)也。故に、限(カキリ)也とある。p.472(キ)
◎キの音は、形なきの火水凝て、形を現すの息のキの音故に、限(火切)也と有。p.473(キ)
◎キの音は、火水の形をなし初むるの音の故に、生(ウメ)る也と有。都(すべ)て形をなす者は、天地のいきの躰より生(ウマ)るゝ氣(イキ)と知るへし。p.473(キ)
◎カの音は、暉く火灵にして、暉(カゝヤク)は是(これ)火の用(はたらき)にして、正(たたし)き火の躰は暉くものに非す。影は、是(これ)正(たたし)き躰に非す。用(はたらき)なるか故に、暉く火の灵の、カの音に影也と有。惣(すべ)て此一行は、皆(みな)暉火灵也。其中に、キクケコの四音に、影の火の灵と有は、此(この)意(こころ)なりと知へし。p.474(カ)
◎暉く火は躰より別れたる用(はたらき)の影(カケ)の故に、カの音に別(ワカツ)也と有。p.475(カ)
◎カ行は形現するの火なるか故に、火切(カキリ)也と有。今、此サ行は、形現すの水なるか故に、水切(シキリ)也と有。p.488
火水の灵
◎ヤ行、都(すべ)て火水の灵なり。p.362
◎アは空水の水にして、自(オ)ら也。ヤは和(ヤワラク)こと。水火(イキ)の二つ、自ら和らくことを、アヤと云。惣(すべ)て、物のくみ、模様の舫(もや)ふことをアヤと云。p.425(ヤ)
◎ヤの音は、アワの二音舫ひて、ヤの灵起る故に、アヤ也とある。p.425(ヤ)
◎アとワとの水火あやにくみて、此ヤの音起る故に、水火の二つを宰る。p.428(ヤ)
◎ネの音は、水火(イキ)の根。p.438(ネ)
◎ヌは火水の灵にして、正中(まなか)に位し、火水の根(ネ)に舫ひて、文(あや)分らぬこと。時に合はすれは、夜の八つ時なり。故に、黒(クロキ)也。p.440(ヌ)
◎火の水中に入極也。今日にて云は、夜の八つ時に当る。故に、終也。p.440(ヌ)
◎ヌは火水の正中に與舫ひて、文分らぬを黒き也とある。p.440(ヌ)
◎火水與み舫ひ、文分らぬことならは、何そ黒きと云や。答て曰。クロは水なり。然れは、水になりて火の形なし。火の形なけれは、火水の與とはいはれす。又問。水火與たる形見ゆるならは、文分れて、くみ極るとは云れす。其文分らぬ黒きは、又水の影にあらすやと云に、曰、黒きは水なりといへとも、火を與の水にして、水の一辺に非す。男女の交りは、火水の極りなれとも、其くむ極りに至れは、男の火は女の水中に形を隠して見えぬか如し。p.440-441(ヌ)
◎ヌは水火與て、文分らぬ故に、ヌの音に潤(ウルオフ)也と有。p.441(ヌ)
◎ヌは火水の正中に與み舫ひ極るの故に緯(ヌキ)也と有。p.441(ヌ)
◎ヌは火水の正中に與み入て、火の形隠れて見えぬ故に、〇也。p.441(ヌ)
◎ニは水火の凝り也。天地も、日月も、ともに水火の凝りなり。凡(すべ)て、此一行を含にて、合はすれは、ノの音は夜の四つ時。子の音は、九つ時にあたる。ヌの音は、八つ時に当る。此ニの音は、明六つ時に当る。是、八つ時に、火、水中に與み入て明かなる。是を、ニと云。これ、火水の凝り、日月明暗天地雲泥と差別を知る故に、ニの音は水火の凝なりと有。
◎ネヌの二音は、火水の舫ひなれとも、胎内の義にして、未た見へさる処也。故に、黒也。暗也。水火の根也とあり。p.443(ナ)
◎ナの音は、火水と形顕れて、竟(つひ)に與むの音。p.443(ナ)
◎ナは火水の灵なり。物の和くときは、正中(マナカ)をなす。和がさるときは、正中(マナカ)をなさず。偏(かたよ)りて、過不及を。p.445(ナ)
◎ナ行は、出る息の正中(マナカ)を宰る一行也。其中にも、此ナの一音は、其法則を深く含む故に、別して正中の灵也とある。其ナの形を見ても、過不足なき正中の灵なることを知るへし。p.445(ナ)
◎ナは火水の和(やわら)くの音なる故に、凝(コリ)たる。p.445(ナ)
◎火水の和らき凝るか、即生(な)るなり。穂の生(な)る。実の生(な)る。陰陽の循環して、火水の能(よく)和らく故に、生(な)る也。火水和かされは、実ならす。故に、火水の和くナの音に、生(ナ)る也と有。p.446(ナ)
◎火の躰、水中に入隠るゝを、火水の灵。ソの音に形(かたち)無し。p.456(ソ)
◎火、水中に入て、水、形をなすの音故に、水火(シホ)と云。p.457(ソ)
◎火、水中に與み凝て、胎内に凝りてあれとも、表に見えす。p.461(ソ)
◎昇水の水灵にして、水の用(はたらき)ばかり。火は胎内に隠れて、水を宰る。p.461(ソ)
◎火、水中に入りて凝れとも、形は見えす。水の用(はたらき)ばかり。p.461(ソ)
◎ソは火水の灵にして、水火の與み初め。p.469(ス)
◎テの音は、火水の灵にして、右(みき)左(ひたり)を備ふ。p.499(テ)
◎天の氣は、即水氣(右)。地の氣は、即火垂(左)。此右左の動く故に、手(テ)の音に風(カセ)と有。p.500(テ)
◎人(ヒト)は、天地の水氣、火垂より生るゝか故に、ヒトをテと云。天地の水氣、火垂有か故に、人を手(テ)と云。p.500(テ)
◎火水の灵のテの音は、則水氣、火垂なるか故に、児の灵也とある。今、テの音は一つにして、水氣、火垂ありて、合せて百千の数をなす。p.500(テ)
昇水の灵
◎シは昇水の水の灵。p.379
◎昇水の灵にして、シはすゝむこと。p.412
◎サは昇水の灵にて、水の昇り極るの音。p.433
◎スは昇水の灵にして、スメルはひとり昇る也。p.468
◎昇水の灵とは、水の昇るは、火の為に動かされて昇る。p.469
◎火水を動かすときは、水中に先(まづ)火入されは動かさず。p.469
◎水中に火降(クタリ)、睦む故に、臣君の命を受け、妻夫のために働く。p.469
◎昇水の灵の行の中に、水中の火灵、火水の灵と差別ある。p.469
◎暉く火のカの灵起る。随て、昇る水のシの灵の水起る。p.479
◎シの音は、昇水の灵にして、万物の初めを宰る。先に解か如く、動く物は水にして、動かしむる物は火なり。火の為に水動されて、始めて形を現して昇る。故に、今(いま)昇水の灵のシの音に始也と有。p.479(シ)
◎万物の始めは皆(みな)水也。故に、昇水の灵のシの音に、始め也と有。p.480(シ)
◎シの音は、昇水の灵にして、終りの義なるか故に、死(シ)也と有也。p.482(シ)
◎シの音は、昇水の灵の始めをなすの音故に、オノレ也有。p.483(シ)
◎シの音は、昇水の灵にして、初めソセスと水中に火與(ク)みて、火の為に水今(いま)動き、進み昇りて、正しく割分らんとする音の故、幸也と有。是シは、割分れんとする始め也。サは正しく割分れのとき也と当レ知。顕云サイハイとはサは割分こと。イは息のこと。ハは発のこと。心は今近苦しみし息をサキワケ又息を発くを云如レ是して発解す。p.484(シ)
◎シは昇水灵にして、進み昇り、割分んとする故に、司ると有。p.484(シ)
◎昇水灵は、ツカサなることと知るへし。p.484(シ)
◎シは昇水の灵にして、水は能(よく)物を育つる用(はたらき)あり。火は物を損する物なり。草木の花を火の中に入るれは、惣(たちま)ちにしほむ。水に止むるときは、永く育つ。父の火、能(よく)息の本はなせとも、育つは母の水にあり。第一義、是也。故に、今は水灵のシ音のゆへに、育つなりとある。p.485(シ)
◎シの音は昇水の灵にして、濁れるは降り、スメルは昇る音の故に、育(ソタツ)也とあり。p.486(シ)
◎昇水の灵の故に、出る水なることを知るへし。p.486(シ)
◎印(シルシ)とは形現れ明に定ることを云。是、形無きいき凝りて、水は明に形を現して、昇る音の故に、印し也と有。p.486(シ)
◎シは昇水の灵にして、進み昇る音の故に、進(スヽム)也とある。p.487(シ)
◎形無き水の形(かた)ちを現して、進み昇り、其進み昇る昇水に、神灵宿りては、月夜見の尊となりて、四海を照す。たとえは、神灵備はらすとも、水河海に溢れ、天を回りて、万物を育つ。皆是、形現るゝの昇水の用(はたらき)也。これを茂(シゲル)ると云。p.487(シ)
◎形なす昇水は、火限(カキリ:火切)有。故に、空水は形無故に、かぎりをなさす。p.487(シ)
◎形現すの水は、水限なす故に、物に障へられて、舟に乗らされは渡られす。形現はすの水のゆゑ也。有所あり、無き所あり。p.487(シ)
◎シの音は昇水の灵にして、形現はすの水故に、今シキリなりと有。上のカ行は形現するの火なるか故に、火切(カキリ)也と有。今、此サ行は、形現すの水なるか故に、水切(シキリ)也と有。p.488(シ)
◎サ行は、都(すべ)て昇水の灵。ソセスシと水昇り進みて、サの音は昇り極りて割別(サキワカルゝ)也。統(すべ)て一切の物、進み極れは、さき分るゝもの也。一粒の籾、進み昇りて万倍となる。万物皆(みな)如レ此。元(もと)は一にして、進み昇れは割分るゝもの也。今、此サの音は、昇水の極りの故に、割別るゝ也。細也。割分るゝの故也。p.488(サ)
◎誘(サソフ)とは、サは割別(サキワカルゝ)こと。ソは揃(ソロフ)ことにして、躰は別にして有乍(ありながら)、セスシと昇る迄は、只(ただ)一にして別れぬに、今サは其一に昇る水の、割分るゝの音也。しかれとも、割分るゝなれとも、揃(ソロ)ふて乱れす。是を、誘(サソフ)と云。友を誘ふなとも、彼れと是と躰は別なれとも、揃へ行くを誘ふと云。如レ此、水は物を睦むの故に、割分るゝと云も、又離れすして誘ふ故に、さそふ水に有。小町の哥に、さそふ水あらはいなんとそ思ふ、と詠也なとは、能(よ)く詠得たる名哥也。今、昇水の灵のサの音なる故に、誘ふ也と有。顕云。イサナフと云は、イは息也。サは割別(サキワカルゝ)こと。ナは双(ナラフ)こと。イサナヒ・イサナフと、ヒフの活用(はたらき)にて省け、割別れたる息をならへると云ことにて、他人とならふと云ふことにて、誘(サソフ)なり。p.489(サ)
◎サ行は、昇水の灵にして、背(うし)ろを宰りて母の灵也。故に、育つの義をなす。上のシの音に、育つ也と有。p.504(ト)
暉火の灵
◎カは暉火の灵にして、重く強き也。p.398
◎カは暉火の灵にして、即(すなはち)火也。p.413
◎カは暉火の灵にして、火の昇る灵。p.413
◎カは暉火の灵にして、きれきれになること。p.413
◎カは暉火の灵にして、火盛に昇り極る。p.433
◎カ行の暉火の灵、中に影の火の灵有。p.469
◎カの音は、暉く火灵にして、暉は是(これ)火の用(はたらき)にして、正き火の躰は暉くものに非す。影は、是(これ)正しき躰に非す。用(はたらき)なるか故に、暉く火の灵の、カの音に影也と有。惣(すべ)て此一行(カ行)は、皆(みな)暉火灵也。p.475(カ)
◎暉火は躰より別(ワカ)れたる火の用(はたらき)の影(カケ)。p.475(カ)
◎カは暉火灵にして、陽の昇る相(すがた)也。p.476(カ)
◎カの音は、暉く火にして、昇ることなれとも、かゝやくと迄はいはるれとも、昇るとは云はす。たかき也とあれとも、司とはなし。p.485(シ)
◎カの音は、暉く火の灵にして明らかなるを、クロキ也、クラキ也なとゝ有。法則(のり)を知らさる人は、知り難きことなれとも、火の暉く用をなすは、火凝りて堨るの最上也。石中より火の出るも、余に合せて凝故に、暉き出る。顕云。此説取に足らす。秋になり、陽の氣、陰中に褐るか故に、かゝやく。是を、稲妻と云。如レ此、火はこり凝るか故に、暉くの用(はたらき)をなす。今、クロとは、物に與み堨るの理(ことはり)なるか故に、暉く火灵のカの音に、クロキ也と有也と思ふて知へし。p.476(カ)
◎カは暉火灵にして、陽の昇る相(すが)た也。陽の昇るときは大きく、潜まるときは少(チヒサ)し。例せは、火昇りては、百丈の殿舎も一時に滅す。潜まるときは、爈中に埋みて、掌を以(もて)覆ふ。今、カは暉く火の灵にして、火の昇る音也。故に、大(オホヒ)也と有。p.476(カ)◎カは、暉く火の灵にして、火の用(はたらき)也。火の躰には非。火の躰は形なく、又暉くものに非す。其かゝやかさる火の躰に、うごき違ふて水に與みて、暉くカの音故に、疑(ウタカヒ)也と有。p.477(カ)
◎カ行は暉く火の灵にして、古事記神代の巻の、天照大神也。サ行は月読の尊にして、是(これ)を地神の部に入(いれ)、形をなし、初にして終りをなす。隠レ身(シヲ)在(まします)天神の如くには非。形をなす物は、必(かならず)初め有。又、終り有。朝 東に暉て、夕べに西へ入。是(これ)、形有の相(すがた)也。故に、今(いま)形顕すの、暉火灵のカ音に限ると也と有。p.477(カ)
◎カは暉の火にして、木のことを云と知るへし。木は火のいきの形。今、此カの音は、形無き火の形を現(あらは)したる木にして、暉(かがや)く火のカの音に、草也と有。松なとを、草と云ときの草(キ)也。タマハヾキ、是も亦(また)松のこと也。p.478(カ)
◎暉く火のカの灵起る。随て、昇る水のシの灵の水起る。p.479(カ)
◎カサヽキのカは暉火灵にして、火にさきさきて、幸(サイハイ)をなすと云語也。日出れは光り暉き、天地万物の差別を分て、照して、幸(サイハイ)をすると云語也。p.484

記事更新日:2026/10/06
















































































