◎言霊ヒ❹
穴(アナ)とは天(アメ)也、〇(ワ)也とありて、天の御中主の、めくりの輪をアと云也。ナは正火の灵也。然れは、アナと云(いひ)、〇(ワ)の正中と云(いふ)。〇(ワ)の正中なれは、天の御中主のヽの火也。故に、穴を樋(ヒ)と云(いひ)、樋口なと云(いふ)しかり。アナのこと也。難して曰。天の御中主の形には、ヽの火あり。今、世間に申す穴と云は、空の穴にして、正中に火のヽなし。其火のヽなきはアナにして、何そ是を火と云や。答曰。真の火は貌見(かおみ)へす。形有(ある)は火の活用なり。御中主の御灵の☉形は、形無きの真(まこ)との火を形に顕して、見せしむるの形☉也。真の火、真の水は、見るへからすの空躰也。其空躰たる真(まこ)との火、万物を興し、動し、はたらきの用の備る故に、是(これ)無にして有なり。有にして無なり。〇(穴)に物を動す空躰の真火あれはこそ、万物の穴によらさるはなし。天は空躰の穴なるか故に、万物を産む。是、御中に真の火か有(ある)故なり。凡(すべ)て穴より生して、穴の中に住す。死して又、穴の中に入。眼耳鼻口屎(シヽ)尿(ハリ)乳(チチ)、皆穴あるを以(もて)用をなす。其外、草木桶鉢盥(たらい)茶碗茶杓針釘、皆穴有(ある)を以(もて)用(はたら)きをなす。正火の火の灵は空躰にして、しかも能(よ)く物を動かすの活用の有(ある)故なり。穴の空は、即真の火の灵、能(よく)物を出入して動かすか故に、穴をヒと云。空躰にて其用ありと云とも、老子の虚無自然の教へとは異なり。
(山口志道「言霊秘書」p.403-404)


ワ(輪)
丸

ヒ(樋)
丸に点


雨樋(あまどい)=樋(ヒ)

雨樋


 
記事更新日:2026/04/28