五十連(イツラ)の十行は、天地の音なり。人間(ヒト)、此灵を動て、言(モノイフ)なり。水火(イキ)は天地に在て、音(コヱ)は人に在(あり)。故に己が口中に低(ヒキク)唱るといへとも、願(子キ)ことを天地の神明に通し、吾国に唱る仏経、天竺の音にあらされとも、仏心に通る。本(モト)、氣(イキ)と氣(イキ)の通るにして、声の通るにはあらす。人間(ヒト)の音(コヱ)は耳の外に在て消、神明の氣(イキ)は天地に在て消す。四海万国の人、言(モノイフ)こと異(コトナリ)といへとも、天より是を聞ときは、皆同一なり。故に天竺悉曇(テンチクノシツタン)、漢国の易(エキ)、皇国の水火の伝(イキノツタヘ)、各人(オノオノ)のイ(モノイフ)ことを、天地の神灵(ミタマ)に反(カヘシ)て、天心を得るの法則なり。
(言霊秘書p.29)

アメノトコタチをイ音につづめ、クニノトコタチをキ音につづめて観るといった仮名反之法則(カナカヘシノノリ)、一言一言の深義を略述した言霊一言之法則(コトタマ一言ノノリ)、また仮名反之法則を用いて、カスミの反キなり、キリの反キなり、クモリの反キなり、ケフリの反キなりとして、詞は別であっても反して霊の同一なるものは同義をなすとする霊合之法則など、五十連の法則は、総て此巻中に在。是を煉磨(れんま)するときは、耳に聞て仮名以(もて)てしるさるゝほとのこと、松吹風、岸によする波の音まても、其のことわり知れすといふことはあらしと本巻末に志道が記しているがごとくであって、神霊に依怙(えこ)なく、志道も人、我も人であって、小天地であり、宇宙の玄微を知れるか知れざるかは、ただ磨くと磨かざるかによるものである。
(言霊秘書p.590-591)



1.霊反(たまかえし)の原理
◎霊反(たまかえし)とは、一音の言霊(コトタマ)を開(ヒラク)ことで派生した詞を、もとの一音の言霊(コトタマ)に反(かえす)ことを意味します。

 (例)ムシ(虫)の反、ミゆへに、開きてムシと云。p.406

◎火浮也。是を、ホノメク也と訓(よむ)なり。朝日の正(まさ)に出(いで)んとするとき、東天暉(かかや)き初(そむ)るをホと云。開けは、ホノメクと云。只、開合にあり。p.387



2.靈反しの例(水穂伝重解誌一言法則:ホ~マ)
◎フクロ(反ホ)p.388
 ・袋…物を収め、物を出すをフクロと云。袋の物、躰不定也。(茶袋、米袋など)
  ⇒五十言の出入するホ故に、袋(フクロ)と云。

◎フクロ(反ホ)p.388
 ・梟…漢字の梟は象形文字である。

◎ハト(反ホ)p.388-389
 ・鳩

◎ホソ(反ホ)p.389 
 ・臍…ヽ
の在(ま)す所。一心の在(ま)す所。
 ・イキの元也。呼吸のイキ、此所より出る。
  ⇒出入の息の顕る所故に、臍(ホソ)にホの音あり。

◎ウテ(反エ)p.396
 ・腕…腕(ウテ)と云は手(テ)のことと極まる。
  ⇒すくれたるものに名を蒙(こうむ)らしめたるもの也。

◎アラザル(反ズ)p.405
 ・非…空躰にして、有かと云へは無し。非ず(アラス)。

◎ムシ(反ミ)p.406
 ・虫(ムシ)の返、ミゆへに、開きてムシ(虫)と云。
 ・ミとは虫の惣名なり。

◎ノムシ(反ミ)p.406
 ・野虫(ノムシ)の反、ノミゆへに、開きてノミ(蚤)と云。 
 
◎シラムシ(反ミ)p.406
 ・白虫(シラムシ)の反、シラミゆへに、開きてシラミ(虱)と云。 

◎ハヘムシ(反ヘミ)p.406

 ・這虫(ハヘムシ)の返、ヘミゆへに、開きてヘミ(蛇)と云。  
  ⇒四段を一段へ上て、ハミと云。

ワラヤマハ ナタサカア
井リイミヒ ニチシキイ
ウルユムフ ヌツスクウ
ヱレエメヘ ネテセケエ
ヲロヨモホ ノトソコオ

◎ナヘシロ(反?)p.406
 ・苗代…ナハシロ
  ⇒四段を一段へ上て、ナハシロと云。

ワラヤマハ ナタサカア
井リイミヒ ニチ
シキイ
ウルユムフ ヌツスクウ
ヱレエメヘ ネテセケエ
ヲロヨモホ ノトソコオ

◎ヒクレ(反ヘ)p.409
 ・日暮

◎ア井(反井)p.409
 ・合

◎ヒクレ ヌア井(反ヘニ)p.409
 ・日暮れの合…空の水の、夕陽に暉きて赤きを、クレナ井と云。
 ・ヘニ⇒紅(ベニ)

◎カシラ(反サ)p.413, p.132, p.593
 ・首・頭…水火の息昇り極る処。

◎アミタ(反ア)p.420
 ・阿弥陀…阿(ア)の仏
 ・諸神諸仏も阿弥陀一躰の分身にして、恒沙の万徳、此御名にをさめたり。

◎ヌマ(反ナ)p.426
 ・沼…ナは和らくこと。水と土と和らく処の名也。
 ・沼は、土と水の差別(けぢめ)正しからす。
 ・練り和らくより、水と土との差別(けぢめ)正しからす。

◎シツマル(反ム)p.439
 ・鎮…昇るものを、本(もと)へ押し下すこと。
  ⇒マル(延ばすこと)

◎シロ(反ソ)p.458
 ・白…ソは昇る水の灵の義にして、昇れは水は必(かならず)澄み、清きなり。
 ・ソの音は昇る水の故に、清して、白也の法則出る也。
  ⇒シロ(白)

◎ソコ(反ソ)p.458-459
 ・底…水中の火凝(コリ)て、火の垂るゝに順ふて、出る法則。

◎コメ(反ケ)p.463
 ・五穀…ケは五穀の灵。

◎スケ(反セ)p.464-465
 ・助…異なるものか、一つに力(チカラ)を與み合すること。
  ⇒弱き者に強き者、力(チカラ)を與み合すること。

◎スメル(反ム)p.468
 ・澄…スは、水中の火灵。
 ・火は水の底に入りて、形を隠して、水斗(ばか)り昇りて、きよらかなる音。
  ⇒スメルは、メルの反ムにして、スム(澄)

◎スグ(反ス)p.468
 ・直…言行飾り無きを、直(ス)と云。

◎カスミ(反キ)p.470、p.367
 ・霞…カスミ(反キ)=水火(イキ)凝(コリ)て霞(カスミ)となる。

◎キリ(反キ)p.470、p.367
 ・霧…キリ(反キ)=水火(イキ)凝(コリ)て霧(キリ)となる。

◎クモリ(反キ)p.367
 ・曇…クモリ(反キ)=水火(イキ)凝(コリ)て雲(クモリ)となる。

◎アメノトコタチ(反イ)p.471
 ・天之常立神 …天ノ常立の反イなり。
 ・空中の水灵のイキ(天神=隠神)

◎クニノトコタチ(反キ)p.471
 ・国之常立神 …国ノ常立の反キ也。
 ・影の火の灵のイキ(地神=顕神)

◎カナラス(反ル)p.475
 ・必…暉き暉く物を並ふ。

◎シロとクロ(反ソとコ)
 ・黒…カ行のコ(凝)
 ・白…サ行のソ(初)

◎カクアル(反カカル)p.478
 ・是有…クア反カにしてカヽル

◎サキ(反シ)p.483
 ・幸…サキとは、本語サイハイなり。約めてサキと云。

◎イキ(反ヒ)p.483
 ・息…天を回る日

◎ツヽキカサヌ(反ツ)p.485
 ・司…ツカサの語は、ツヽキカサヌを約たる語也。
 ・ツヽの反ツ。キは、キ・クと用て省く。カサヌは、両(フ)のヌにして、司(つかさ)。

◎スヽム(反ス)p.487
 ・進…澄(スム)⇒澄昇ること。

◎タヽ(反タ)p.492
 ・正…タヽの二音、灵と灵と合せたること。灵と灵と合して違はさるを、タヽと云。
  ⇒灵と灵の合ふを正シと云。

◎ツルキ(反チ)p.494
◎カヽミ(反キ)p.494
 ・ツルキ(反チ)…剣の灵。宝剣、火の剣、男の魂、主上の徳を表す。
 ・カヽミ(反キ)…鏡の灵。神鏡、水の鏡、女の魂、皇后の徳を表す。
 ・チキリ(契)▢…皇后の鏡の水の中へ、主上の火の剣(つる)き和すること。

◎トリ(反チ)p.496
 ・鳥…鳥は一に百千幷(なら)ひ集るもの故に、チの音に鳥の灵と有。
  ⇒チは鳥の灵である。

◎ヒトツ(反ホ)p.496-497
 ・一…ヒト反ホ+ツ(助言)=ホツ(ヽ)
  ⇒チの音は、水中の火灵にして、一つの物のホチ(ヽ)の最初なり。

◎トシ(反チ)p.497
 ・年…天地のいき與みて、水切(シキリ)をなすを年(トシ)と云。

◎ツキ(反チ)p.497
 ・月…三十日を月という。其三十日を惣(そう)して、つゝめて月と云。

◎トキ(反チ)p.497
 ・時…割別(サキワカ)れて息を與みて、昼夜十二時になる也。

◎トヽム(反トム)p.503
 ・止…水の中に火與み睦みて、玉をなして、更に変ことなく、永世尽ることなし。

◎トヽマル(反トヽム)p.503
 ・止…人のこゝに止マル(マルの反ム)と云も、能(よく)睦みて動かさるを云。

◎マヘ(反メ)p.504
 ・前…マヘの反メにして、メはミル也。見る方を前と云。
 ・然れとも、マヘの語は、ムカヒ搦むと云か本義也。

◎シロ(反ソ)p.504
 ・後…シロの反ソにして、後(ウシロ)也。山に向ひ、又山を背にするの名也。
 ・又、山城(ヤマシロ)の名あり。

◎マカ(反マ)p.518
 ・曲…間(アヒタ)に一重搦みて、間(アヒタ)か合(アハサ)らさるやうになること。



3.靈反しの例(水穂伝その他)

◎ウウル(反ウ)p.110
 ・植
  ⇒弥生に生たる苗を植(ウウル)月と云義なり。卯は仮字。

◎ウタ(反ア)p.246
 ・歌…アは五十連(イツラ)の総名なり。

◎タテ(反テ)p.248
 ・縦…辞(テニヲハ)の説明より。

◎ヌキ(反ニ)p.247
 ・緯…辞(テニヲハ)の説明より。

◎オキ(反イ)p.363
 ・隠伎…イはイキ(息・氣)也。
  ⇒隠伎三子島

◎フト マニ(反ホ ミ)p.378

◎マニ(反ミ)p.378
 ・布斗麻邇…ホは正火の火の灵、ミは火中の水の灵也。
  ⇒火水の形を顕はすの御灵なることを顕はすの御名。


◎クニ(反キ) p.380
 ・国…クニ(反キ)
 ・キは影の火の灵にして、火を産玉へりと云こと也。

◎ナリ(反ニ) p.384
 ・出入の息の二つならぶ。

◎タハム(反ツ)
 ・戯れる
 ・タハムの三言を反すとツにして、たはむれて人を迷はすの名になる。
  ⇒イナリ(稲荷)とキツネ

◎スナ(反サ)p.367
 ・砂…和漢灵合


天地開闢



記事投稿日:2026/09/22