又、布斗麻邇の御名を、数(カス)の御伝へに会するとき、ヒフミヨイムナの七言、是(これ)自(おのづから)数(カス)の御灵と、其理(ことはり)自然と契当する也。先(まづ)ヒフミヨ。是は御灵ては、布斗(フト)の事也。イムナとは、御灵てはマニの事。それは如何と云に、ヒフミヨとは、は火也。は吹こと也。は水也。は與事。是、火を吹て水に與(クム)と云こと。員(カス)の御灵ては、ヒフミヨと云教へ也。イムナと云は、イキのこと。ムツムこと。は幷(なら)ふことにして、即(すなはち)火吹て、水に與(クミ)、いきむつみならぶと云ことなれは、即布斗麻邇(フトマニ)の御灵の四言の御名を、七言に開きたる也。同く、いきの離合(クミハナレ)を教ふる御名也。御灵と数の御伝へとは、唯(ただ)開合の異なるのみ。先(まづ)、一粒の籾(モミ)、自(オノツカラ)春になると籾の胎内に火ふき、ふくれて夏になり、苗代に蒔て水に浸すか、是(これ)火水與(クム)所也。是、與(クム)の始め也。又、員(かす)の御伝ては、ヒフミヨの四言に当る月に配しては、正月より四月なり。それより、正しく随かひて、地に與(クム)か水火(イキ)のむつむ所也。員の御伝ては、五六(イム)に当る。月に当れは、五月、六月に当る。それより、弥(いよいよ)いきむつみて花開(サキ)幷(ナラ)ふか、員の御伝へては七()に当たる。月に配すれば七月に当る。七月は、一切の万物始めて実を結ひ始むる時也。二つのいき、始めて一つのホチ)の中に入なり。故に、七月七日に星合する。是(これ)、空に星と云者(いふもの)別に有て、相逢と云事には非す。ホシと云ことを解は、は正火の灵。は昇水の水の灵也。六月まては、陽の火盛りにして、七月に至り、始めて陰の水氣に與(クミ)凝(こ)りて、土一つになるをホシ(星)と云。又、七夕(タナハタ)と云は灵也。は幷ふ也。は火水(イキ)の二つのこと。は列なること。二つの火水(イキ)の灵、幷ひつらなると云詞(ことば)にして、水火(イキ)の二つに與(クミ)て、竟にホチ)になる所をと云。幷ふと云こと、水は女、火は男、一夜の契(ちぎ)り也。終りた所に寄(よせ)て、設けた祭也。実は形なきを、形ある物に寄て設けて祭る也。又(また)生れての後(のち)七夜を祝ひ、又(また)七歳を祝ひ、正月の七日七草、七月の七日は秋の七夕也。其(その)春の七草の言を解は、は與(クム)こと、は少なき也。万物のイキ(火水)、與(クミ)そめの兆しを祝(イワフ)の名也。七夕は、既(すでに)とく。知へし。如此(かのごとく)名をなして、万物のみのりの数は、七つの数に極まる也。故に、七草はイキの與(クミ)そめ也。七つの数を以(もて)與(クミ)そめ、與(クミ)終りを顕はすゆへ、今此(この)布斗麻邇の御灵の名は、ヒフミヨイムナヤの七つの員(かず)に充(アテ)て、陰陽(イキ)與(くみ)て万物を生する事を教ふることの神宝故に、神代の巻には、彼二柱の神ミトノマクハイし玉ふ時に、イキ與(クム)の法(ノリ)をたかひて、女神よりアナニヤシエヲトコヲとの玉ふゆへに、ミコふさわず。
(山口志道「言霊秘書」p.378-380)


◎言霊
止也。トトムとは、トトの反にして、は與こと。は睦むこと。與睦を、トヽムと云。今、水の中に火與み睦みて、玉をなして、更に変ことなく、永世尽ることなし。故に、トヽムと云。人のこゝに止マルマルの反)と云も、能(よく)睦みて動かさるを云。今、の音は、水中に火與み睦みて、玉をなして、更に変らさるの音故に、止(トヽム)也と有。タチツテトは、玉(タマ)つゝきて、今爰(ここ)に止まることにして、ヒフミヨイムナヤコトと、止り終る也。
(山口志道「言霊秘書」p.503)


春の七草


 
記事更新日:2026/08/28