◎言霊
剣(ツルキ)の反にして、は剣の灵なり。三種の神器の中にて、宝剣は主上の徳を表す。神鏡は后(きさ)きの徳を顕す。皇后の鏡の水の中へ、主上の火の剣(つる)き和するか故に、是をツルキと云。解かは、は連なること。は助音の省け。イキにして、息連と云名也。故に、剣は人を殺害する器には非。氣(イキ)を連る具也。君臣のイキ連らさるときは、国乱る。其乱(みだれ)し国を治めて、君臣のイキ連ねん為に、剣を以(もて)和平せしめ、国家を安んする。是を、ツルキの徳と云。しかるに、後世に至て、唯(ただ)剣は殺害を用(はたらき)て、反(かへり)て国を乱すの器とす。如此の穢れたる器を、何そ神器を祟るへきや。漢字にも、武士の武は戈(ほこ)を止むと書て、君臣のイキ連るに依(より)て、剣に依(より)て氣(イキ)連り、国を和平するか故に、ホコに剣の名をなす。ツルキは息をツヽクと云こと也。文王一たひ怒りて、天下平(たひら)かなりと言ふ如し。上下の氣(き)連(つら)なるの天下の法(の)りを、主上后宮に有て、神器を以て(もて)是を表する也。故に、男の魂を顕すときは、剣を用ゆ。女の魂を顕すときは、鏡を用ゆ。統(すべ)て、チキリと云も、主上の剣と后皇の鏡と、婚嫁(ミトノマクハイ)するに名をなす。ツルキの反也。カヽミの反。則(すなはち)、是をチキと云。は助言なり。国家安全に治るは、上下の和平にあり。其和平せしむる本(もと)は、諸(もろも)ろ人の契り也。チギリの本(もと)は、ツルキカヽミと、二の徳に収る。今、の音は、水中の火灵にして、母の鏡の水中へ、父の剣の火和らき睦むの音故に、ツルキ也とある。是、イキツルム(本語ツルクム也)のこと也。
(山口志道「言霊秘書」p.494-495)


三種の神器

記事更新日:2026/08/17