覚悟の力
宮本祖豊
致知出版社
2014-10-30


「覚悟の力」は、比叡山に1200年伝わる十二年籠山行(ろうざんぎょう)に挑戦し、20年の歳月をかけて満行した宮本祖豊(みやもとそほう)氏の著書です。

この本では、比叡山でもっとも厳しい修行のひとつと言われている十二年籠山行のようすが詳しく書かれています。しかし、単に厳しい修行のようすを紹介したものではありません。宮本祖豊氏は、『自分の中に無常観がある。一寸先は闇でいつ死が訪れるかわからない。それに対して自分の精神のレベルをもっと上げていきたい』という思いで修行に入り、時には死を覚悟しながらも、修行の間、そこで見えてくるものは何なのか、そして何のために修行をするのかといった内面的な部分に意識を向けていったプロセスを綴っています。

そして、十二年籠山行を満行して至った境地について、次のように語っています。

「生きていくための原動力は『無常』にあることは確かです」

「今日一日、いま一瞬を見つめ、これをどうやって生きるかがすべてなのです」

「自分の心を見るものは、宇宙すべてを見るものと同じなのです。ありのままに自分の心を知ることが、すべてを知ることなのです。

「修行の最中に、自分が宇宙と一体化する感覚になったことがあります。我というものが残っている限り、目の前には仏様は立ちません。無の境地にならなくてはいけないのです。それは自我というものがなくなって初めて至る境地です。そして自我がなくなってくると、個というものもなくなります。個がなくなるとどうなるでしょうか。自らの意識が地球いっぱい、宇宙いっぱいにまで広がるのです。そのとき初めて、人間というのは小さな個の中に限定された存在ではないのだと、はっきりと悟ることができました」


十二年間山に籠るという覚悟を決め、満行した宮本氏の言葉は、穏やかさに満ちているだけではなく、千言万語を費やしても語れない説得力に満ちています。

山道